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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > ひる・うぃんど(vol.31-40) > ひる・うぃんど(vol.36) 1991.10 川合三津夫「ひる・とおく」

ひる・とおく

 美術館の勤務もたくさんの新たな経験ができるから楽しい。好奇心だけはなるべく多く持っていたいと思っているから、一つの展覧会が終わり次の展覧会がはじまる、という繰り返しの中で、いろいろな手続きや問題が起こってきて、不安の雲が頭の中に湧くが、同時に新しい経験が出来ないかとの期待でわくわくします。

 

 外国へ行ったことはまだ無いけれど、外国から作品が届くと、作品を入れる木の箱にさえ作ったその国の雰囲気がでているし、展示前後に飛び交う外国語などに外国の会話のようすを楽しめる。展示前の荷解きのときなどは邪魔になりながらどのように作品がでてくるのだろうかとドキドキして見ています。

 

 友人で美術館を好きな者が何人かいるが、駐車場から階段を上がってから展覧会の展示室にはいるまでの気分が堪らなく好きという人、美術館へ来てなにもしなくてただエントランスに座っていたりすることが好きな人、展覧会が好きで展覧会ごとに来る人、家族サービスで来る人など、美術館へ行くという行為のなかには人好き好きな形がある。

 

 だから、美術館の入口にいても沢山の経験が出来ます。例えば、一般に三重県立美術館に展覧会を見にくる人は、まだ少しあらたまってくるように思われます。雨の日など、傘を玄関前で置かずに展示室まで持ってくる人は、建物に近づくにつれて展示などに関心が高まり、手に傘を持っていることを忘れてしまっているようです。このような高まった気持ちで美術作品をみる気持ちが伝わってくると嬉しくなります。

 

 これからもどのような経験が出来るのでしょうか。どんな展覧会が計画され、どんな人たちと美術館で会えるのかしら。来館者にとっても、再会であったり、新しいことに会えたり、いままで知らなかったことを知ったりすることは、大変楽しいことだと思います。

 

(川合三津夫・総務課長)

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