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伊賀耳付水指 銘破袋(やぶれぶくろ)

高さ21.6p 口径15.8p 底径18.2p 桃山時代
五島美術館蔵

 

 古伊賀は茶陶のうちでもとくに水指と花生に作行きの優れたものが造られた。ここに掲出した「破袋」と命銘されたものは、古伊賀を代表する水指としてまず、第一に指を屈しなければならないものである。

 

 「破袋」には、古田織部が、大野主馬宛に出した消息が付属していた。「内々御約束之伊賀焼ノ水指令進入候 今後是程のもなく候間 如此候 大ひゞきれ一種候か かんにん可成と存候」というものである。「今後是程のものなく候間」という評価が、利休以降の第一の茶人と称された織部によってなされていることを考えると、この水指が制作当時から置かれていた位置がおのずとわかろう。

 

 力強く、おおづかみな形態が、激しい炎を受けて歪み、ひび割れ、焦げる。それが、「破袋」では「大ひゞきれ一種候か」と織部がいう見所となる。古伊賀では、このような窯の中での予期しない変容が、見所のひとつとなっている。

 

 この、偶然がもたらす変容に美を見いだす心は、琳派が水墨画の分野で墨の自然な広がりがつくり出すにじみの効果を利用した「たらしこみ」だけでなく、1950年代に現われる “具体”のハプニングの形式にまで通底する日本的な美意識でもある。 

 

(山口泰弘・学芸員)

 

年報/古伊賀と桃山の陶芸展

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