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ヤン・トーロップ「テニス・コート」

1890年、油彩・キャンバス、43.0x76.0cm

デン・ハーグ、ハーグ市立美術館

 

 1889年のパリ万国博覧会に、テニス・コートを描いた1点のパステル画が出品された。フェルナン・クノップフの『追憶』である。写真を用いて画家の妹マルグリットを繰り返し7回描き、同一の7人の女性が互いに別々の方向を見据える画面に、メモリーズという洒落た英語の題名。トーロップはこの作品を翌年の二十人会展で観ている。彼はその主題に興味を覚えた。テニスは近代生活の図像である以前に、17世紀に好まれた表象で、人間は運命に抵抗できないという寓意を持つ。クノップフの小道具のラケットはここでは白いネットとボールに代わり中景を冷たく二分する。一方の側にいる家族は悲しげである。少女は1887年に亡くなったトーロップ夫妻の最初の娘メリー・アンであろうか。この時期トーロップは確かにクノップフの影響を受けているらしいのだが(『女の肖像』1895年とクノップフの『蒼草の葉』1893年に見られる顔に植物を重ねる手法など)、同時期に最愛の家族を懐想した二点の作品は、ともにテニス・コートで描かれることになった。

 

(荒屋鋪透・学芸員)

 

年報/ヤン・トーロップ展

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