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館蔵品から

小野木学 (1924〜76)  版画集「風景」(10枚組)から

 戦後の美術界で、青い色彩の美しい抽象作品によって、独特の世界を築いた小野木学の版画集「風景」の中の一葉である。

 

 小野木学は、1924年東京に生まれ、戦時中に軍事教練の過労から肺を病み、療養生活の中で青年時代を過ごしたが、そのなかで絵を描くようになって、1955年前後から作品を自由美術展などに発表するようになった。

 

 小野木の画家としての出発は、30歳頃からと、決して早くはなく、しかも彼は52歳という壮齢でこの世を去ったが、その20余年の間に、彼は油彩画だけではなく、版画や絵本の制作など幅広い仕事を遺している。

 

 小野木の初期の作品は、人物を主題とし、どちらかといえぼ表現主義的傾向を示していたが、以降、急速に抽象表現の道をたどり、1960年代の半ば頃には、彼独自のとぎすまされた感覚を示す、青い色彩を主調としたスタイルを確立するに至った。

 

 それらの作品の多くには、「風景」あるいは「Landscape」という題名が与えられているが、この場合の「風景」とは、彼の言葉によれば、自己と対立したものではなく、画家自身であり、彼の「存在の雌梨」であるという。 掲載の作品も、他の「風景」シリーズと同様に、群青に近い濃い青色の平面の中から、幾何学的な形が、陰影をもって、ほのかに浮かび上がって、洗練された色彩と形の美しさによって私たちをひきつけるとともに、深い思索へと誘う不思議な魅力を持っている。

 

(毛利伊知郎・学芸員)

 

作家別記事一覧:小野木学

小野木学 版画集「風景」

1974年(昭和49)

シルクスクリーン・紙

30.0x30.0cm

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