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ひる・とおく

 毎年2月から3月にかけて開催する「三重の子どもたち展」の会期中となると、美術館のなかは子どもたちでいっぱいとなる。

 

 講演会をはじめ三重県立美術館で行われるものは、ほとんど大人を対象とした催しであるが、「三重の子どもたち展」の会期中は、土曜日の午後と日曜日には、来館した子どものための催しが必ず実施され、子どもが美術を楽しむ空間が美術館につくられている。

 

 たとえばアニメーションを上映する日曜映画会。大きな紙やパス、絵の具などを用意して、展覧会を見て創作意欲を触発された子どもたちが自由に絵を描いたり、紙粘土で好きなものを作る創作広場。そして、人形劇団「みのむし」による人形劇。こういった催し物に集まった子どもたちのエネルギッシュな動きにはびっくりする。

 

 美術館での人形劇の公演は、今回で3回目。お話は、グリムの「白雪姫」をアレンジした『ああ白雪姫』と『きつねのマガリン』であった。

 

 たとえば、へそ曲がりで人の反対ばかりしゃべったり行動する狐のマガリンと、ワンダフルおばさんや狼との人形劇を見て、子どもはおばさんに、あるいは狐のマガリンになりきったりして、ぎっしり満員の会場で子どもたちは同一の気持になりきり、充分楽しんでいる様子であった。

 

 子どもたちが学び、楽しむところは公的な場としては学校だけでは充分ではない、という時代を迎えている。親や子どもが何に参加するか選択できる程、子どもを対象としたプログラムが数多く実施されるよう、またその催しがより意味を持つようなくふうが今こそ必要な気がする。

 

 鑑賞という行為が成立するためには、子どもたちが積極的に作品を「みる」ことによって成立するものであり、美術館でも、子どもたちが興味と関心を示すような配意や援助を真剣に考えなければならないように思う。

 

(森本孝・学芸員)

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