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ひる・とおく 地中海の美術

牧野研一郎

 

 6月24日から7月6日までの2週間、県民ギャラリーを会場に〈地中海の美術・・・彩文土器からマイヨリカ陶器まで・・・〉と名付けた小企画展を開催した。この展覧会は、地中海地域に関わりをもつ歴史学者、考古学者、美術史家あるいは経済学者さらには芸術家やディレッタントなどからなるユニークな学会、地中海学会の第10回大会が6月末に津の三重大学で開催されるのを機に企画されたもので、県内では殆ど見る機会のない地中海諸地域の美術作品を、日本の各所に所蔵されている土器・陶器・ガラス器を中心に紹介するというものであった。トルコの遺跡から発掘された紀元前5000年の彩文土器、エジプト初期王朝以前に遡る黒頂土器、シリア・シドンの海底から引き上げられたガラス器、キプロス島の可愛らしいテラコック、ギリシャ絵画の美しい線を今に伝えるギリシャ陶器のかずかず、素朴な味わいのあるエトルリアの土器、さらには時代はずっと下るが、マイヨリカやトルコのイズニークの色鮮やかな絵着け陶器など93点が、そう広くはない会場に所せましと列べられた。これらの作品の選定には共立女子大学の友部直教授のご指導を仰いだが、先生には病後にもかかわらず作品名の表記の統一などにも細心の注意をはらっていただくなど、こうした作品に関してまったくなんらの予備知識もない展覧会担当者をリードしていただいた。ところで、これらの作品のリストアップをしている段階で、以外と多くの古代地中海諸地域の作品が日本にあることに門外漢の私は驚かされた。倉敷の大原美術館に隣接する蜷川美術館のギリシャ陶器が、『観古図説』で有名な明治初期の考古学者・蜷川式胤のコレクションをもとに三代にわたって収集されたものであることを知ったのも私には収穫であった。周囲の方々にはいろいろとご迷惑をおかけしたが、私にはふだんの展覧会では味わえない新鮮で面白い展覧会であった。

 

(まきの けんいちろう・学芸員)

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