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移動美術館 「ときめきの色、ひらめきのカタチ。」

 この度、昨年10月にオープンしました熊野文化交流センター、および三重県営サンアリーナにおきまして三重県立美術館コレクションによります移動美術館を開催することになりました。

 今回のテーマは「ときめきの色、ひらめきのカタチ。」です。

 普段の生活のなかで、私たちはさまざまな色や形を目にします。それは人であったり、風景や家並みであったり、あるいは机や急須や小さな花などです。日常目にするこうした人やものは、私たちが意識して見ることによってそれらがときめきに変わる場合があります。

 芸術家と呼ばれる人たちも私たちと同じ人間ですが、違うところをあえてあげるとすれば、彼らは日頃から感性を研ぎ澄ましている分、ときめくものを多く発見するのに長けているように思えます。そして、ときめきを私たちに伝えるための制作の段階で、いくつものひらめきがあり、新たな世界を築いているようです。

 ルオーやシャガールから鈴木頼子ら現代の作家にいたるまで総数31点、作品からあふれる「ときめき」と「ひらめき」を楽しんでいただければ幸いです。

2010年3月

主催者

 

in 熊野

2010年3月2日(火)〜7日(日)

熊野市文化交流センター 1F 交流ホール

(熊野市井戸町字丸山643-2)

開館時間:午前10時〜午後7時(最終日は午後5時まで)

主催:三重県立美術館、熊野市教育委員会、文化庁、みえ文化芸術振興プラン推進事業実行委員会

後援:熊野市文化支援委員会

◎観覧者数 1,127名

ギャラリートーク

3月7日(日)午後2時〜 約40分

(県立美術館学芸員が作品解説をおこないます)

お問い合わせ:熊野市文化交流センター 電話0597-89-3686

        三重県立美術館 電話059-227-2100

会場風景
会場風景 1   会場風景2
会場風景3   会場風景4
会場風景5   会場風景6
 

in 伊勢

2010年3月13日(土)〜22日(月)

三重県営サンアリーナ 1F 国際会議室

(伊勢市朝熊町鴨谷4383-4)

開館時間:午前10時〜午後5時(最終日は午後3時まで)

主催:三重県立美術館、株式会社スコルチャ三重、文化庁、みえ文化芸術振興プラン推進事業実行委員会

後援:伊勢市、伊勢市教育委員会

◎観覧者数 808名

ギャラリートーク

3月22日(月)午後2時〜 約40分

(県立美術館学芸員が作品解説をおこないます)

お問い合わせ:三重県営サンアリーナ 電話0596-22-7700

        三重県立美術館 電話059-227-2100

三重県営サンアリーナのサイト

 

出品目録(予定)+展覧会ガイドブック

作者名 作品名 制作年 材料
シャガール、マルク 版画集「サーカス 1967年 リトグラフ・紙
シャガール、マルク 版画集「サーカス」 1967年 リトグラフ・紙
  シャガールは、思い出や夢の光景を描きつづけたロシア生まれの画家です。今回展示される二点でも、サーカスの雰囲気が写実的ではないので、かえって生き生きと描きだされています。また、ちょうど記憶が全ての細部ではなく特定のイメージを強調するのと同じように、色の組みあわせが夢か思い出のような雰囲気をいっそう強めています。
ルオー、ジョルジュ 受難(9)<この苦しむ人を見よ> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙
  自らの集大成とも言える《ミセレーレ》が完成しながら日の目を見なかった1930年代、ルオーはアンドレ・シュアレスの宗教詩集『受難』の挿画に着手しました。シュアレスは画家のよき理解者であり、二人にとって念願の共同作業がようやく実現の運びとなりました。本作のオリジナルの形態は画家自身の手による色刷銅版画17点に加え、ルオーの下絵をG.オベールが製版した木版画82点を含むものでした。

この詩画集は、少年期のステンドグラスの修業の成果が遺憾なく発揮され、大胆な色面と力強い輪郭線が、キリストの苦悩に託した画家の内なる叫びを伝えてくれています。
正宗得三郎 ヴェトイユの春 1914(大正3)年 油彩・キャンバス
  作者の正宗得三郎は、小説家正宗白鳥の弟で、主に大正期以降の洋画界で活躍し、文筆家としても知られました。彼が初めてフランスへ渡航したのは31歳、1914(大正3)年のことでした。渡欧前から印象派に傾倒していた正宗は、フランスではマティスを訪ねて最新の絵画表現を摂取し、帰国の際に日本へ初めてマティス作品をもちかえっています。この作品が描かれたヴェトイユは、モネゆかりのセーヌ川沿いの小さな町。ここで、彼は山本鼎や森田恒友らと同宿し、芸術談義に時を忘れる生活を送りました。リンゴやナシの花が咲き誇る美しい田園風景が、てらいのない明るい色調で描かれて、生気に満ちた青年画家の気持ちの高ぶりを見ることができるようです。
古賀春江 煙火 1927(昭和2)年 油彩・キャンバス
  久留米に生まれた古賀春江は、大正から昭和初頭にかけて日本的な形での超現実主義を導入した画家です。そのスタイルは幾度か変化しましたが、変わりゆこうとする近代という時代とつねに共振していたように思われます。

本作品では、画面全体を浸す茶色が夜の暖かく柔らかな感触を伝えるさなか、下方の戸口にあかりがともされることで、空に船や花火が幻のように浮かびあがります。一場の夢というべきでしょうか。
山口長男 1936(昭和11)年 油彩・キャンバス
  この作品は、池などの庭先の風景から、それぞれ骨格を示す要素を単純化させ、それぞれ一つの色面や線に表現しています。

茶系の色彩を少し含む白の空間に、淡いピンク、青、黄色などの色彩が加えられ、背景には、茶色、オレンジ、青といった色彩の線が強く描かれています。どれも何かを意識して塗り込まれた感じがします。「私の描く形は、呼吸するようにゆっくりと動くようでありたい」という作者の言葉が、この作品を見たときに納得できそうな気がします。

山口長男といえば、ずっしりと重く、独特のマチエールの黒を背景とした茶系の一色で塗られた抽象形の作品群でよく知られている作家ですが、自然の形態から抽象化した初期のこうした作品も魅力的です。
桂ゆき 作品 1958(昭和33)年 油彩・キャンバス
  戦前の桂ゆきが制作したコルクのコラージュは、当時の前衛的傾向にあってもきわめて急進的な作品でしたが、その後の作品は一方でコラージュ的な性格を保ちながら、持ち前の画力を活かしてユーモアを帯びたイメージを紡ぐというものでした。この作品でもウロのある木の幹のようなイメージは、粘りのある筆致によって流動感を帯び、生きもののような肌触りを感じさせています。
坂本繁二郎 1960(昭和35)年 油彩・キャンバス
  久留米に生まれ同郷の青木繁とともに上京した坂本繁二郎は、やがて、写実から出発しながら独自の雰囲気を放つ画風を確立しました。そこでは全体が一つの色調に統一されながら、多くの色が内に秘められていると感じさせ、そのため幻影のようにゆらめくのです。本作品でも、薄紫という軽佻になってもおかしくない色が全体を浸し、それでいて感じられるのは、しんと沈潜する存在感ではないでしょうか。箱のくっきりした輪郭や、両脇での影の色分けなどとの対比によって、平板に陥らない厚みがもたらされたのです。
鈴木金平 静物 1964(昭和39)年頃 油彩・キャンバス
平井憲廸 デザインする少年 1982(昭和57)年 油彩・キャンバス
  1915年、現在の三重県三雲町に生まれた平井憲廸は、三重師範学校に学んで教員となり、中国や東南アジアへ応召の後、1946年に復員、1948年からは高田学苑に美術の教員としてつとめるかたわら、三重県展や松阪市美術展など地元の公募展に出品し、たびたび審査員もつとめて、三重県の美術界で活動しました。また、1955年から1968年にかけては独立展にも作品を出品しましたが、1970年代以降は毎年のように開催される個展が主な作品発表の場となりました。

彼の洋画は、光への敏感な感覚を示す写実的表現による人物画からスタートしています。1950年代半ば頃にはキュビスム風の構成的な作品を描いたりしましたが、1960年代以降は強い運動感を示す、自由奔放な表現による抽象的な作品へと急激に変化し、そうした作者の息づかいをそのまま伝えるような動勢が、平井芸術の大きな特質となりました。
木村忠太 初夏 1975(昭和50)年 油彩・キャンバス
  木村忠太は1953年に渡仏以来、ほとんど帰国することなく制作を続けた画家です。自ら「モネの後継者」と自負し「印象派を完成させるために日本からやってきた」として、「魂の印象派」なる作品を描き続けました。彼の作品は現代美術のあわただしい潮流とは一線を画す独自の世界です。

本作品に見られる黄・青は、強烈な生命力の塊となって見る者に体当たりしてきます。しかし、それはゴッホのように、われわれをやるせない気持ちにさせる黄色でもなく、マティスのように、どこか知的で統制された冷たい青でもありません。

最初は目を射るものの、次第に心地よく心に浸透し沈殿する温もりがあります。この温もりこそが、海外で東洋的と指摘されたところのものでありました。
池田満寿夫 青い椅子 1966(昭和41)年 ドライポイント、 ルーレット、 エングレーヴィング・紙
  池田満寿夫は版画だけでなくやきもの、小説、映画などを手がけた多才な作家です。菰野のパラミタミュージアムにも多くの陶彫が収蔵されています。本作品では、椅子、人物、犬がそれぞれの描き方や空間上の位置のちがいによってスピーディーに切り替わるさまに、現代的な空気を感じとることができます。
田中一光 綱  全3点 1974(昭和49)年 シルクスクリ・[ン・紙
  現代日本を代表するグラフィックデザイナーの一人田中一光が制作した版画作品。1930年、奈良に生まれた田中は、1960年代から、数多くのポスター、ロゴマークのデザイン、ブックデザインを手掛けてきました。

この「綱」は、綱をテーマにした三連作。

綱には、古くから宗教的に象徴的な意味が込められ、その伝統は、正月のしめ縄に見られるように現代にも生きています。

この作品において作家は、そうした綱のらせんや結び目を、現代的な感覚でとらえ直して、鮮やかな色彩とシャープなフォルムによって、新たな「綱」のイメージをつくり出すことに成功しました。
靉嘔 Mr.& Mrs. Rainbow gymnastics No.1 1974(昭和49)年 シルクスクリーン・紙
元永定正 版画集『ほへと』より「ぎざぎざのなかはきいろ」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
元永定正 版画集『ほへと』より「ほへと」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
元永定正 版画集『ほへと』より「あかのうえ」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
元永定正 版画集『ほへと』より「あかいいろだま」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
元永定正 版画集『ほへと』より「はちほん」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
  上野生まれの元永は、具体美術協会に参加して戦後の前衛運動の一翼を担いましたが、つねに独自の作風を見失いませんでした。今回展示される作品でも、棒状のイメージが擬人化されてユーモアをたたえ、さらには抽象化された空間に神出鬼没に出現して奇妙な物語を綴るかのようです。
浅野弥衛 無題 1985(昭和60)年 鉛筆・紙
浅野弥衛 無題 1985(昭和60)年 鉛筆・紙
木下富雄 習作 2 1959(昭和34)年 木版・紙
木下富雄 Face(ナンセンス) 1975(昭和50)年 木版・紙
小林研三 1962-63(昭和37-38)年 油彩・カンヴァス
小林研三 春の丘 1975(昭和50)年 油彩・カンヴァス
  四日市生まれの小林研三は、鳥や動物、田園を幻想的に描き続けた画家です。この作品でも、春の霞を連想させるにじみの効いた塗りと、家や木、動物の単純化された描き方が、画面を穏やかな理想郷として表しています。
諏訪直樹 いたるところで 1980(昭和55)年 アクリル絵具・綿布
鈴木頼子 MEDITATE 1993(平成5)年 エッチング・染めた雁皮紙
  たとえば地中のような、密度も圧力も高い世界で、何か神話的な植物が生え育ち、枯れてゆく。そこでは生命もまた、濃密さをまとっている−。画面からはそんな光景が見てとれるかもしれません。

上半を大きく占めるひずんだ円は今にも裂け開きそうですし、それを支える白い線の束は、緩慢にうごめくようです。根元のひしゃげた同心円は、他にもちらばっていて、それぞれが別の何かを芽吹かせるのかもしれません。

周囲を走るさまざまな線は、描き足されたというより、薄紅なら薄紅が、内側からはがれ落ちて現れたかのようにも見えます。打ち震え、のたうち、あるいは彫り刻むような線の表情は、銅版画の特性を活かして得られたものです。それに甲高く響きあう色彩、紙継ぎによる画面の拡大などが相まって、空間全体に生命感をみなぎらせています。

大きな円の裂け目の向こうにのぞいている黒は、死の闇であると同時に、命をはぐくむ土壌なのかもしれません。
橋本平八  猫 A 1922 (大正11)年 ブロンズ(1991年鋳造)
柳原義達 1963(昭和38)年頃 ブロンズ
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