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移動美術館 員弁コミュニティプラザ 色彩遊戯

2007年11月13日(火)〜18日(日) 午前9時〜午後5時(最終日は午後3時まで)

入場料:一般200円(65歳以上の方と高校生以下は無料)
員弁コミュニティプラザ:〒511-0202 いなべ市員弁町楚原940
                TEL.0594-74-4144

主催:いなべ市芸術文化協会
後援:いなべ市教育委員会
協賛:三重県立美術館
協力:三重県立美術館友の会

お問い合わせ先:いなべ市芸術文化協会事務局
            TEL.0594-72-2200

◆ギャラリートーク:11月18日(日)午後2時〜3時 県立美術館学芸員による作品解説

 

いなべ市での三重県立美術館所蔵品による移動美術館も、今年で3回目を迎えます。2005年12月の『旅するまなざし 未知なるものを探して』、2006年11月の『美の気配(ニュアンス)』に続いて、今回は『色彩遊戯』と題して開催します。

絵画は多くの場合色彩を用いて描かれますが、その使い方はさまざまです。使い方次第で画面は、現実のながめとは異なる生気や華やぎ、時に沈鬱さといった雰囲気を伝えることでしょう。また現実の重さから解き放たれた作品は、軽やかな戯れといった表情をまとうことがあります。

こうした〈色彩〉と〈遊戯性〉をキーワードに、いなべを拠点に活動する吉本作次や染谷亜里可など北中勢地域ゆかりの作家を中心に、19世紀フランスを代表する諷刺版画家ドーミエ、柳原義達や堀内正和などの作品を加え、油絵、版画、彫刻などあわせて22点の作品を展示します。

昨年、一昨年の移動美術館にご来館いただいた方はもとより、はじめての方も含め、さまざまな方々にご覧いただければさいわいです。

 

◎入場者数 359名

 

主な新聞記事等

讀賣新聞
11月1日…「◇移動美術館『色彩遊戯』(鑑賞)」

伊勢新聞
11月14日…「北中勢ゆかりの作家の作品展示 いなべで移動美術館」

中日新聞
11月15日…「貴重な名画が“出張” いなべ 県立美術館の巡回展」蜘手美鶴

 
石崎勝基「移動美術館今昔」 HILL WIND 17 2007年12月14日
 

移動美術館 会場風景 1

移動美術館 会場風景 2

移動美術館 会場風景 3

移動美術館 会場風景 4

移動美術館 会場風景 5

 

出品目録+ガイド

no. 作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法(cm)
1 新井謹也 1884-1966 森の一隅 明治時代末頃 油彩・板 33.0×23.5
志摩郡鳥羽町に生まれた新井は、1903(明治36)年から京都で洋画を学びますが、1920(大正9)年の中国・朝鮮半島旅行を機に陶芸に専心するようになりました。本作品では何気ない景色が奇をてらうことなく描かれていますが、板の手応えを確かめるようにぴっぴっと横に置かれた筆致と、緑と褐色、白やピンクの対比が生き生きした空気を通わせています。
2 中川一政 1893-1991 目黒風景 1923(大正12)年 油彩・キャンバス 45.5×53.0
中川は1915(大正4)年草土舎の創立に参加、岸田劉生の影響下に画歴を始めましたが、1940年代以降は、厚塗り、激しい色彩と動きを特徴とする作風を確立しました。ただ本作品は草土舎風のスタイルとも後年の画風とも異なり、薄塗りによって景色をとらえています。白地を透かした褐色と空の対比や斜めに傾いだ視角が重苦しいわけではないけれど、しかし爽快ともいえない独特の雰囲気を伝えます。また青やオレンジ、褐色の線がぽわっとひろがる褐色等を引きしめています。
3 飯田三吾 1900-1965 富田浜風景 1923(大正12)年 油彩・キャンバス 33.5×45.7
四日市に生まれた飯田は、1922(大正11)年大正期の新興美術運動を担うグループの一つ「アクション」の創立に参加した画家です。本作品では、フォーヴィスムの影響をうかがわせる色彩の対比が熱気を帯びた雰囲気をもたらしています。地面と空のもくもくした筆致が舟や家をのみこみそうな勢いでひろがる一方、くすんだ色の中で縦に伸びる赤が印象的です。
4 赤松麟作 1878-1953 白い扇 1941(昭和16)年 油彩・キャンバス 91.0×72.6
1900(明治33)年から1903年まで三重県第一中学校で教鞭をとったこともある赤松は、東京美術学校で黒田清輝の指導を受け、1904(明治37)年以後は大阪を拠点に活動しました。その画風を堅実な写実に基づくもので、本作品もその一例です。ここでは赤みを帯びた明るいグレーを基調に、白とピンクが画面に華やぎをもたらしています。
5 麻生三郎 1913-2000 紫陽花 1944(昭和19)年 油彩・キャンバス 24.0×33.6
戦前から活動していた麻生は、とりわけ人間像を中心に、写実を基本にしながらも人間のイメージと周囲の空間がほの暗い色調の内で見分けがたいほど溶けあうという独自の作風を確立した画家です。本作品はそうした画風がいまだ模索されていた時期のものですが、緑と青が近接しながらも微妙に異なることで、ひそかなざわめきを伝えています。
6 中谷泰 1909-1993 病児と母親 1952(昭和27)年 油彩・キャンバス 80.3×100
松阪に生まれた中谷は、モダニズムの洗礼を受けながらもそれを咀嚼した温厚な写実によって、静物や風景、また炭坑とそこでの労働者などを描きました。本作品でも、絵の表面にへばりつこうとするかのような形やオレンジと青、緑の対比などにモダニズム的な処理をうかがわせつつ、何よりも穏やかな雰囲気を生みだすことが主眼となっています。子どもの身の丈に応じた空間の狭さが親密さを感じさせるのでしょう。
7 田辺三重松 1897-1971 流木の汀 1961(昭和36)年 油彩・キャンバス 130×162
函館出身で風景画を得意とした田辺は、安井曾太郎らの影響下に画歴をスタートしました。その特色は色彩を主軸に画面を組みたてるという点にあります。本作品でも、暗く透明な緑を上下の明るめの褐色ではさみ、その対比が湿り気と温度を帯びた空気の厚みを表現しています。
8 鈴木金平 1896-1978 1962(昭和37)年 油彩・板 72.4×60.6
四日市に生まれた鈴木は、第1回ヒュウザン会展(1912)に参加するなどしていましたが、とりわけ1915(大正4)年に出会った中村彝に深い影響を受けました。本作品は固有の作風が成立した時期のもので、あざやかな色彩ともこもこと丸みを帯びた形が装飾的な画面を作りあげています。緑と青という寒色が支配する中、白、オレンジ、褐色が画面をにぎわわせています。
9 小林研三 1924-2001 1963(昭和38)年 油彩・カンヴァス 90.5×65.0
四日市に生まれ、後に桑名で生涯を過ごした小林は、身近な生きものや田園を童話的な幻想として描いた画家です。本作品は小林の作品の内でも単純化の著しいものですが、そのためかえって、白光にひたされた空を鳥の群れが横切る時感じさせる、はてしないひろがりを表わしえています。
10 浅野弥衛 1914-1996 作品 1967(昭和42)年 油彩・キャンバス 31.8×40.9
鈴鹿に生まれ生涯を鈴鹿で暮らした浅野は、白ないし黒の地をとがったもので引っかいた線が、時に自在に、時に規則的に走る作風で知られています。本作品は珍しくピンクと薄紫の画面ですが、ピンクと線の軽快さがマッチして、しかし落ちついた雰囲気をたたえています。
11 諏訪直樹 1954-1990 いたるところで 1980(昭和55)年 アクリル・綿布 79.0×92.0×35.0
四日市に生まれた諏訪は、古来の伝統と西欧の近代が交わる日本の近代において、絵を描くとは何かと考え続けた画家です。本作品では、屏風を参照して折れ曲がった画面が平らな四角という画面とは異なるあり方で視線を走らせるよう促しています。金と青、赤と緑の流動的な筆致が、隠れた弧や斜線に導かれつつ、波や風のように揺れ動いています。
12 伊藤利彦 1928-2006 箱の中の空 No.7 1993(平成5)年 木・ラッカー・ひも・コラージュ 176×197×4.8
四日市に生まれ生涯を四日市で暮らした伊藤は、さまざまな試行を経て、箱の中の白い模型という作風に達しました。本作品はその典型で、箱は折り畳み可能なためかえって、内側の白い飛行機を無限のひろがりへと解放するのではないでしょうか。
13 館勝生 1964- jasper stone 1998(平成10)年 油彩・キャンバス 130×162
桑名出身で大阪を拠点に活動する館は、外にあるイメージを写すのではなく、白い画面の内側に隠れ、生まれようとするイメージを引きだそうとしている画家です。本作品でも、中央の透明な緑が白地の奥にある深みを暗示するかたわら、そこに激しい筆致や羽根状の形が働きかけることで、何かが現われようとする勢いが生じています。
14 吉本作次 1959- 樹下休息図 2000(平成12)年 油彩・キャンバス 145.5×112
桑名といなべを拠点とする吉本は、漫画風の人物で見る者を引きこみつつ、絵の中を経巡ることの醍醐味を味わわせようとする画家です。樹下美人図や菩提樹下の釈迦のような図像を連想させる画面は、イメージを軽快に読みとらせることでしょう。しかし決してからっぽではない虚空のひろがりとの緊張によって、充実した存在として現われるのです。またわざと速度を落としたかのような線は独特の表情をたたえています。
15 染谷亜里可 1961- Decolor − 字幕(細工がこってる) 2004(平成16)年 ヴェルヴェットを脱色・パネル 98×125
いなべを拠点とする染谷はいくつかのシリーズを展開していますが、《Decolor》はヴェルヴェットを脱色するという方法で制作されます。白地にイメージを付け足すのではなく、ヴェルヴェットの内側に隠れていたイメージに光があてられるのです。字幕つきの映画の一場面を描いた本作品では、さらに、既存の映画、それに対する字幕と、見る者とイメージの間に幾重ものフィルターが重ねられます。そこから、目の前に直接あるのではなく、幾層ものヴェールをかけられたイメージのあり方が感じられることでしょう。またヴェルヴェットの作品では、斜め横から見ると表情がまったく変わってしまう点も確かめてみてください。
16 ドーミエ、オノレ 1808-1879 古代史》より〈アキレウスの教育〉 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6
17 ドーミエ、オノレ 1808-1879 古代史》より〈アキレウスの洗礼〉 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6
18 ドーミエ、オノレ 1808-1879 古代史》より〈僣主ディオニュシオス〉 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6
ドーミエは19世紀中盤のパリで、雑誌や新聞を舞台に諷刺版画を発表した版画家です。《古代史》のシリーズも、ヨーロッパ文化の規範と見なされてきた古代ギリシャ・ローマの英雄たちを諷刺した作品集です。ただドーミエにあっては、諷刺性とともに、石版画の特性を活かした柔軟で芯のある線によってもたらされるヴォリュームや光と影の対比の充実したさまが印象的です。
19 木下富雄 1923- 仮面たち (B) 1959(昭和34)年 木版・紙 57.5×91.0
20 木下富雄 1923- 習作 (B) 1962(昭和37)年 木版・紙 46.0×60.5
三重郡(現四日市市)に生まれた木下は、1952(昭和27)年以来木版画をもっぱら制作してきました。《仮面たち(B)》では目鼻立ちを失った顔がびっしり並ぶとも転がってくるとも見えるさまが印象的です。くすんだ赤がそうした印象を強めています。他方《習作(B)》では、木版の質感を活かしたかすれの内に光をはらむ画面で、何ともしれぬイメージが宙に出現します。いずれも不吉ともユーモラスともとれる幻を見せてくれます。
21 堀内正和 1911-2001 水平の円筒 1959(昭和34)年 鉄・御影石 30.0×34.0×20.5
戦前から制作していた堀内は、戦後になると幾何学的な形態を何らかの規則にしたがって展開するという方法を採用しつつ、そこにある種のユーモアがただようという作風を確立しました。本作品でも、円筒の一部を切り開いて台座につなぎ、また上半と下半をくねっと橋渡しした結果、人の顔というか目もとだか開いた口のように見えます。
22 柳原義達 1910-2004 1963(昭和38)年頃 ブロンズ 24.0×21.0×13.0
戦後の具象彫刻を代表する作家の一人である柳原の作品は、細々した細部を再現してはいないけれどもそこに生気が宿るという特色をしめしています。本作品は人物や鴉、鳩を主に手がけた柳原には珍しく猫を扱ったもので、伸びをする猫のしぐさが生き生きととらえられています。左の後脚は背中を掻いているのでしょうか。
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