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白髪一雄 (しらがかずお/1924-2008)
黄龍
1965年 油彩・キャンバス
1940年代から50年代にかけて、戦後の混乱の中で、わが国の作家たちは、新しい自由な表現を求めてさまざまな試みを行い、数多くの美術団体やグループが結成されることになる。
関西では、戦前から活動していた吉原治良が、若手作家たちを集めて1954年に「具体美術協会」を結成し、人の意表をつく奇抜で前衛的な活動を展開し、国際的にも注目を集めた。
白髪一雄は、京都市立絵画専門学校で日本画を学んだが、1955年から「具体」に参加し、キャンバス上を滑走して、足を使って作品を制作する作画法で話題を呼んだ。
白髪の作品には、中国の古典や仏教書などから発想を得て、絵の具がダイナミックに画面上に塗られたものが多い。《黄龍》も、足による制作作品で、黄龍とは、中国の史書などに表れる黄色の龍のこと。
本作品では、湾曲した黄色の絵具が、空を駆ける龍の姿を連想させるが、白髪は具象的イメージと抽象表現のかかわりを考える上でも興味深い活動を展開している。
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