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黒田清輝 (くろだせいき/1866-1924)
薔薇の花
大正期 油彩・板
KURODA Seiki // Roses // Taisho period // Oil on board
日本の油絵史上もっとも重要な画家のひとり、黒田清輝が描いたモチーフのほとんどは風景と人物であった。外の光を重視した表現や構想画に関心を寄せていた黒田にとっては当然の結果であったといえるが、ごく少数残っている静物画も魅力的である。静物画制作も自然観照の一部であり、「見て起る感じを書く」黒田の姿勢は変わらない。
この絵に注目すると、黒田は花瓶の底部をわざと画面から外すことで、その重量感を弱め、相対的に薔薇の存在感を引き立てようとしている。そして花びら部分にみられる軽快なタッチと適切な施色は、薔薇のみずみずしさを見事に表現している。本作品は、実業家で貴族院議員であった樺山愛輔旧蔵品であった。
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