移動美術館展 桑名市博物館
「きもち∞色々」
2003年4月16日(水)~5月5日(日)
ごあいさつ
三重県立美術館では、所蔵作品による2003年度移動美術館を開催することになりました。移動美術館は、各地域の文化活動に寄与する目的をもった三重県立美術館の最も重要な活動のひとつとして毎年開催されています。三重県立美術館にたびたび訪れることがむずかしい地域の方々には、美術館のコレクションを身近で鑑賞できる機会として、好評をいただいております。
今年度の移動美術館は「きもち∞色々」と題して、20世紀の美術を中心に、その特色を見ていただこうとするものです。日本画1点、油彩28点、版画8点、彫刻4点と、数はけっして多くありませんが、今回『移動美術館』に展示された作品群によって、三重県立美術館のコレクションをある程度概観できる内容になっています。
最後に2003年度の『移動美術館』展開催にあたり、ご協力いただきました関係各位に厚くお礼申し上げます。
三重県立美術館
わたしたちは、作品と向き合うとき、さまざまな思いをめぐらせます。絵画であれば、額縁の内側に広がるひとつの世界へと、いつのまにか引き込まれ、「眼」で旅をします。まわりに誰がいようと、意識が向かう作品の前では、自分と作品との一対一の会話が始まります。そして、少し時間がたってくると、作品を描いた作者のきもちについて思いを巡らすことになるでしょう。作者はどんな人だろう、どのような体験をしてきてこの制作にゆきついたのだろう ――― このような思索は時として楽しいものです。
今回の移動美術館では、主に20世紀に活躍した作家たちを取り上げました。20世紀とは、まさに個性の時代、言い換えれば作者のきもちが表現と密接に関わった時代といえます。わたしたちがこれまで体験してきたことのほとんどは20世紀のことですから、なかには、まるで自分と同じ体験をしてきたかのような、即座に共感できる作品もありますが、そうでない作品であっても、そこに表現された人物の身振り手振り、表情、筆の勢い、質感、色彩、そして作者の視点など、さまざまな要素がヒントとなって作者のきもちを知ることができます。自分にはない感性をもった作品との出会いでは、新しい何かを与えてくれることがあります。
展示は、作者の気持ちを推測して「まじめなきもち」「かなしいきもち」「やさしいきもち」「たのしいきもち」などのテーマに分けてみました。この分類は、あくまでもひとつのきっかけにすぎませんので、当然みなさんがご想像される作者のきもちとは異なる場合もあります。どうかこの機会に、みなさん独自の「きもち捜し」の旅をお楽しみください。
(田中善明)
Ⅰ.まじめなきもち | ||||
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1 | 鹿子木孟郎 | 京洛落葉 | 1904(明治37)年 | 油彩・キャンバス |
2 | 原田直次郎 | 老人像 | 制作年不詳 | 油彩・キャンバス |
3 | 和田英作 | 富士 | 1909(明治42)年 | 油彩・キャンバス |
4 | 鈴木金平 | 島田風景 | 1913(大正2)年 | 油彩・キャンバス |
5 | 向井潤吉 | 遅春(長野県塩尻市広丘郷原) | 1962(昭和37)年 | 油彩・キャンバス |
Ⅱ.かなしいきもち | ||||
6 | 小林研 | ベルの想い出(犬) | 1950(昭和25)年 | 油彩・カンヴァス |
7 | 高畠達四郎 | オーヴェール古寺 | 1967(昭和42)年 | 油彩・キャンバス |
8 | 宮崎進 | 捕われた男 | 1955(昭和30)年 | 油彩・布・板 |
9 | 香月泰男 | 芒原 | 1968(昭和43)年 | 油彩・キャンバス |
10 | 中谷泰 | 煤煙 | 1957(昭和32)年 | 油彩・キャンバス |
11 | 木下富雄 | Face (丸と角) | 1982(昭和57)年 | 木版・紙 |
Ⅲ.やさしいきもち | ||||
12 | 黒田清輝 | 薔薇の花 | 大正期 | 油彩・板 |
13 | 安井曽太郎 | 裸婦 | 1910年(明治43)年 | 油彩・キャンバス |
14 | 藤島武二 | 裸婦 | 1917(大正6)年頃 | 油彩・キャンバス |
15 | 坂本繁二郎 | 箱 | 1960(昭和35)年 | 油彩・キャンバス |
16 | 田中阿喜良 | 父子 | 1957(昭和32)年 | 油彩・キャンバス |
Ⅳ.たのしいきもち | ||||
17 | 斎藤清 | 羅漢 | 1982(昭和57)年 | 紙本墨画 |
18 | 中谷泰 | 烏賊のある静物 | 1950(昭和25)年 | 油彩・キャンバス |
19 | 島田章三 | とりたのし | 1961(昭和36)年 | 油彩・カンヴァス |
20 | 元永定正 | 作品 | 1956(昭和31)年 | 油彩・キャンバス |
21 | 小林研三 | 私の家 | 1983(昭和58)年 | 油彩・カンヴァス |
22 | 浅野弥衛 | 作品 | 1964(昭和39)年 | 油彩・キャンバス |
23 | 浅野弥衛 | 作品 | 1976(昭和51)年 | 油彩・キャンバス |
Ⅴ.どんなきもち? | ||||
24 | 小出楢重 | パリ・ソンムラールの宿 | 1922(大正11)年 | 油彩・板 |
25 | 荻須高徳 | 街角(グルネル) | 1929-30(昭和4-5)年 | 油彩・キャンバス |
26 | 桂ゆき | 作品 | 1958(昭和33)年 | 油彩・キャンバス |
27 | ルドン、オディロン | アレゴリー | 1905年 | 油彩・キャンバス |
28 | デュフィ、ラウル | 黒い貨物船と虹 | 1949年頃 | 油彩・キャンバス |
29 | ミロ、ジョアン | 女と鳥 | 1968年 | 油彩・キャンバス |
30 | シャガール、マルク | 版画集「サーカス」 | 1967年 | リトグラフ・紙 |
31 | 北川民次 | 瀬戸十景 | 1937(昭和12)年 | リノカット・紙 |
32 | 棟方志功 | <棟方志功板画>挿絵(1) | 1958(昭和33)年 | 木版・紙 |
33 | 棟方志功 | <棟方志功板画>挿絵(3) | 1958(昭和33)年 | 木版・紙 |
34 | 棟方志功 | 涼湖の柵 | 1954(昭和29)年 | 木版・紙 |
35 | 棟方志功 | 合浦浜まい瑰華の柵 | 1955(昭和30)年 | 木版・紙 |
36 | 棟方志功 | <棟方志功板画>挿絵(4) | 1958(昭和33)年 | 木版・紙 |
37 | 棟方志功 | 鷹姫匠の柵 | 1958(昭和33)年 | 木版・紙 |
38 | 石井鶴三 | 猫 | 1938(昭和13)年 | ブロンズ |
39 | 橋本平八 | 弁財天 | 1927(昭和2)年 | 木 |
40 | 堀内正和 | 水平の円筒 | 1959(昭和24)年 | 鉄・御影石 |
41 | 柳原義達 | 赤毛の女 | 1956(昭和31)年 | ブロンズ |