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ミニ用語解説:走泥社(そうでいしゃ)

1948年7月、八木一夫、鈴木治、山田光ら、京都の若手陶芸家5人による走泥社の結成は、日本における現代陶芸の出発点といってよい出来事であった。現代陶芸の象徴ともいえる「オブジェ」は、この走泥社の活動の中から誕生することになる。伝統の否定と新しい陶芸の創造という、典判的な前衛芸術運動の精神を柱として、彼らは次第に、従来の焼物の宿命ともいえる実用的な形を否定するに至る。実際には完全な鑑賞用であっても、自明のものとして受け入れられてきた皿や壷という外観を完全に捨て去ったのである。1954年に制作された八木一夫の「ザムザ氏の散歩」はその最初の一歩をしるした。一旦ロクロで挽いた形を切断し、管状の突起を取り付け、立ち上がらせた形は、タイトル通り、奇妙な生き物を想起させる。

あまりにも長い伝統をもつ日本の陶芸において、実用性を否定するのは容易なことではなかった。その際、彫刻家イサム・ノグチの陶芸作品に刺激を受けるなど、むしろ彫刻への接近が「オブジェ」の誕生を可能にした。しかし、走泥社の運動が大きな力となることができたのは、それに留まらず、陶芸にとってあたり前の素材である土がもつ可能性をあらためて問うことによって、陶芸のあり方を根本から変革できたからこそである。館蔵品の八木の「みんなさかさま」も、一方で焼物であることを否定するような視覚のパラドックスを表現しつつ、他方で黒陶という土の感触を大切にしている点が見逃せない。

(学芸員・土田真紀)

友の会だよりno.30, 1992.7.31

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