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ミニ用語解説:メゾチント/マニ工ル・ノワール

メゾチントは版画の技法のひとつ。その起源はふるく、オランダのルドヴィヒ・フォン・ジーゲンが1624年に開発した。18世紀のイギリスで流行(コンスタブルとターナー〉したが、レンブラントはどうも知らなかったらしい。金属板の版面にひっかききずをつくって、まず半調子(MEZZOTINT)の黒の素地をしあげたあと、陰影の対照によって「図」をおいてゆくという独特の方法からマニ工ル・ノワール(黒の方法)の名でよばれている。ただし、版面を腐食させることで明暗の諧調をとるやりかたもマニ工ル・ノワールということがあるので、ややこしい。集合論の記号でかくとメゾチント⊂マニ工ル・ノワールということになる。

長谷川潔(1891−1980)は多くの版画をこのメゾチント/マニ工ル・ノワールでつくっている。というより、より操作のたやすい石版画と写真に圧倒されてほとんど絶えるかにみえたこの接法を復活させ、レンブラントやルドンの黒と肩をならべる「東洋の芳墨にも比すべき、しぶい高雅な黒色」をインクからひきだした功績は、だれよりもまず長谷川に帰する。そのための苦労のかいあって、肖像画の複製というふるくさいイメージを一新したもので、技法の復活というより、あらたな発明といってもよい。

(東 俊郎・学芸員)

友の会だよりno.24, 1990.7.20

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