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ミニ用語解説:「マティエ一ル」 

フランス語のマティエールは元来材料、材質を示す言葉であるが、絵画技法上の用語としては画面の肌を意味している。フレスコやテンペラなど生乾きの壁面に水溶性顔料を染み込ませる薄塗りの手法では困難であった画肌の操作は、15世紀に油絵具が発明されて以来、材質感の処理を基底にした写実性の追求に一役買ってきた。19世紀末葉に印象派の画家達は作品の完成度の概念(フイニ)に異議申し立てを行い、それまで地塗りを基礎に入念な下塗りを重ね、その色層の安定度を完成の概念に結びつけてきたアカデミックな技法を屑しとせず、以前は下塗りの段階とされた作品を完成作として観者に提示した。1874年の第一回印象派展に出品されたクロード・モネの《印象・日の出≫ もその例である。印象派は下塗り(アンプレッション)を単なる技巧ではなしに、芸術哲学上の主張としての「印象」(アンプレッション)に昇華させたといえよう。ところで画家が完成の概念の拘束から解き放たれた時、否応なく自らの技巧的拠り所としたものが筆触分割といったマティエールの操作であった事は寧ろ必然であった。マティエールの問題は、ピカソのパピエ・コレ(貼り紙)等を経過して尚20世紀の芸術家にとって重要な課題の一つである。

モネ 《印象・日の出》
《印象・日の出》
クロード・モネ作 1873年

 

(荒屋鋪 透・学芸員)

友の会だよりno.7(1984.11.25)

作例:友の会だより所蔵品解説
須田國太郎 信楽

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