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尹錫男 (1939 満州− )

尹錫男 (1939 満州− )
《Son,son,son》 (14点組)
1993年 アクリル・木 180×35.0×12.0cm他


YUN Suknam // Son, son, son // 1993 // Acrylic and wood

家族や血縁のなかにおける母親(女性)

作品タイトルの「son」は、英語では「息子」や「子孫」といった意味にあたる。韓国語で「son」(ソン)と発音すると、「手のひら」、「客」という意味の他に「孫」という意味も持っている。英語と韓国語で同じような意味を持っていることが興味深く感じられるのではないだろうか。

作者の尹錫男は、ジェンダー(性差)に焦点をあてて、作品を通して静かに問いを投げかけている。人物、特に女性像を木片に描き、それらを組み合わせて空間に配置し、家族や血縁のなかにおける母親(女性)という存在のあり方を表現している。

この作品では、赤や青の華やかな民族衣装を身に着けた女性像と、対照的にモノトーンで描かれノミで削られた跡のある女性像が大小の木片に描かれている。大きさも色彩も異なるが、ひとつのかたまりとなった14点の木片はそれぞれが何かしらの繋がりを持っているように思える。それはおそらく、連綿と続く家系における女性の血縁といったものだろう。しかし、作品タイトルに戻ってみると、重視されているのは跡継ぎとなる「子孫」であり、子を産み育てる母親という存在は家父長制においては表に出てくることがないことが暗示されている。

作者自身も、妻となり母となり子どもを育てたのち、40歳を過ぎてから本格的に作品制作を始めたという経歴を持つ。活動の最初期から、韓国の女性の姿を主題に作品を制作しており、これまで祖母や母親の世代を扱ってきたが、近年では自らの世代をテーマとした作品制作も行っている。

原 舞子(三重県立美術館学芸員)

友の会だより no.82 2009.11.30

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