このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

西海岸からの風〜ロスアンゼルス美術館紹介〜

学芸員 生田ゆき

海外旅行の楽しみの一つに、日本では見ることのできない名作に出会う喜びがあります。友の会では海外研修旅行としてこれまで、オランダ・ベルギー、イタリア、フランス、アメリカを巡り、世界の名だたる美術館を訪れてきました。今回はアメリカ西海岸、ロスアンゼルスの見どころをご紹介します。

ロスアンゼルスと一口に言っても、そのカバーする範囲は広大です。バスや地下鉄で移動する場合、キーポイントとなるダウンタウンから見ていくことにしましょう。ここには現代美術館があります。ニューヨークの近代美術館がMOMA(モマ)という愛称を持つのに対し、こちらはMOCA(モカ)として親しまれています。林立する高層ビル群に囲まれて、赤茶色の外壁とガラスのピラミッドが特徴です。現代美術館というと前衛的で難解な展示を想像しがちですが、私が訪れたときはひっきりなしに小学生の団体が引率されていました。あちこちでミニ・ギャラリートークが繰り広げられ、とても賑やかでした。またここのもう一つの魅力はハイセンスなミュージアム・ショップです。美術館の開館時間前からオープンし、インテリアやアクセサリー、バッグなど他とは一味違う作家物が見つけられます。

ダウンタウンからバスで西へ約一時間ほどいくと、ロスアンゼルスカウンティー美術館が見えます。ここは美術館というよりも博物館というほうが相応しいほど、コレクションの幅が広く、東洋美術のフロアーもあります。実は今回の調査の最大の目的は、こちらで開催されているムリリョの展覧会を見ることでした。ムリリョは三重県立美術館を代表する作品として皆様にもお馴染み一枚ですが、この展覧会では、アメリカにあるムリリョの作品が一堂に会した初めての展覧会でした。

街歩きもにもなれてきたら、少し遠出をしてみましょう。ダウンタウンからフリーウェイを使い、北へ行くと、ノートン・サイモン美術館があります。付近一帯は古き良き町並みを保存したパサデナという地域に属し、バスを降りてウィンドウショッピングをするのも心躍ります。この美術館では、中世からルネサンス、更には20世紀に至るヨーロッパ美術の名作を取りそろえており、古い時代ではスルバラン、レンブラント、近代美術ではゴッホ、セザンヌが有名です。中でもドガのコレクションは油彩、パステル、素描、彫刻など質量共に充実し、見どころの一つです。また美しく手入れされた中庭には彫刻達が迎えてくれて、旅の疲れを癒してくれます。

いよいよ最後に行くのはゲッティー・センターです。この美術館は日本の雑誌やテレビでも採りあげられることが多いので、噂を耳にした方も多いかも知れません。事業で手にした巨額の富を惜しげもなく投入した美術館は、コレクションの質の高さは言うに及びませんが、調査研究、保存修復、教育普及が見事な連携プレーを見せているユートピアのような所です。初心者から研究者に至るまで楽しめるよう工夫され、館内はコンピューター制御された展示環境で理想的な空間が広がっています。見逃せないのは、ファミリー・ルームと名付けられた一室です。ここでは子供を対象に美術に親しむ仕掛けが盛りだくさんですが、もちろん大人も大歓迎です。頭と目だけでなく全身で楽しんで下さい。

アメリカ西海岸で美術鑑賞。皆さんには思いもつかない選択肢かもしれません。ヨーロッパの重厚な歴史に囲まれた美術館もいいですが、カリフォルニアの青い空と乾いた風に吹かれながら、気取らない鑑賞法もなかなか捨てがたくあります。ディズニーランド・パークやユニバーサル・スタジオ・ハイウッドも魅力的ですが、一日足を延ばしてみるのもいかがですか?

友の会だよりno.62, 2003.3.31

ページのトップへ戻る