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秋岡美帆展より

三重ゆかりの中堅作家に県民ギャラリーの空間と取り組んでもらうという本シリーズも、『今村哲展』、『館勝生展』に続き、今回で三回目を迎えました。それぞれ素材や技法を違えつつ、ともに平面という媒体を主軸としていました(今村哲展ではインスタレーションも重要な役割をはたしていましたが)。展示方法も含め、比較しながら思い起こしてみるのも一興でしょうか。

秋岡展の場合、作品のサイズがすべて220x275cm前後と統一されていただけに、各壁面の表情がはっきり性格づけられていました。とりわけ入口から見て正面の長い壁は、今回のハイライトだったといってよいでしょう。作品の大きさの割には作品と作品の間隔が狭めだった分、逆に、ある種の流れのようなものが生じていたのではないでしょうか。最初の三点は青と白を主体に、画面内の流れも明快な作品。次の三点は黒が要をなす、重さと強さを兼ねた作品。とりわけその三点目では、深く沈みこむ闇であることがそのまま、光をはらんでいるかのようでした。そして最後の二点で、そこまでに蓄積されたエネルギーを別の方向へ散らす。

他の四つの壁面も、それぞれ他との関係で、固有の性格をかもしだしていました。そうした上で、さらに展示室全体が、目に見える事物の集積として成立する世界の表面、そのすぐ裏で(あるいは手前だろうか)、流れたり淀んだり、合流したり分岐したり、ぶつかりあってははじきあう、さまざまな流れを各断面ごとに映しだす、展望室のようなものに変容していはしなかったでしょうか。壁から浮きあがって止められた、不透明な和紙の質感は、そうした、作者のいう「世界の皮膚」(図録p.14参照)の厚みや柔らかさ、弾力に呼応しているのかもしれません。

石崎勝基(三重県立美術館学芸員)

友の会だより60号、2002・9・3

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