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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 1999 > ヒューストン美術館展 桑名麻理 友の会だより no.51, 1999.7.27

【平成11年度 展覧会ごあんない】

「ヒューストン美術館展」
~ルネサンスからセザンヌ、マティスまで~

(7/17(土)-8/22(日))

桑名麻理〈学芸員〉

ヒューストン美術館は、アメリカ合衆国のテキサス州南東部のヒューストン市にある美術館です。1924年の開館当初、わずか50点ばかりのコレクションでのスタートだったのですが、以来、ヨーロッパ絵画を中心に東洋、インド、アメリカ美術と拡張をつづけ、いまではおよそ40,000点をかぞえるアメリカ屈指のコレクションとなっています。

7月17日からはじまる「ヒューストン美術館展-ルネサンスからセザンヌ、マティスまで」では、ヒューストンからの選りすぐりの主要作品72点が会場にならびます。フラ・アンジェリコやロヒール・ファン・デル・ウェイデンらルネサンス期を代表する画家たちの手による板絵からセザンヌ、マティスの作品まで、14世紀後半のゴシック後期から20世紀へといたるおよそ600年のヨーロッパ絵画の歴史が展観できる内容となっています。

この展覧会は、一作家一点、それも国を越えて、ということで作品の表情はほんとうにさまざまです。どこか集中的に見どころを、と言っても実は難しく、むしろ、600年を一気に見る、というのがけっこうな醍醐味のように思われます。そこには無数のストーリーが眠っていて、そのなかのいくつかを自分なりに気ままに掘り起こすことができるのですから。たとえば、聖人を描いた宗教画が、物語の登場人物に扮装した肖像画を経て、普段の人の肖像画に変わっていくさま、ですとかあるいは、ヨーロッパの北と南、ちょっとした地域の違いが、主題や描き方の違いとしてあらわれたりとか。いやいやもっと、600年という時を越えて、鮮やかな色彩や描線それ自体の魅力に参ってしまうかもしれません。14世紀の板絵と20世紀の絵画に同じように感激してしまうことこそ、芸術の不思議さそのものなのかもしれないですね。

友の会だより no.51, 1999.7.27

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