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三重県立美術館で初めてのワークショップ

森本 孝

参加したことのない方にとって、ワークショップが何であるのか、これはかなり難解である。様々な実践例を耳にしていても参加した経験のない私にとって、今回のワークショップは手探りの部分が非常に多かったのは事実である。ファシリテイターという、また難しい言葉になるが、このワークショップのプログラムを構想し、中心的な役割を演じるファシリテイターの能力がワークショップの善し悪しを決定してしまうほど重要である。そして今回のワークショップにはアーティストにも参加いただき、より充実した機会になるよう計画した。

ワークショップとは、「身体や心をいろいろ動かしながら、何かをつくったり考えたりする場」であり、プロセスが重視され、学校の授業のような一斉教育ではなく、参加した子どもたちが自発性、自主性を発揮して、元気いっぱいに活動を展開するもので、参加者は活動するなかで、いろいろ考えたり思ったりすることを通じて、美術の最も根源的なところへ案内されて、美術とは何であるのかを、理屈ではなく、身体全体で体験する場がワークショップと考えられる。

上野市では上野市出身の元永定正さんと、ファシリテイターとして斎正弘(宮城県美術館普及部造形科長)さんを迎え、上野市労働会館2階大ホールを会場に、8月8日は保護者を含む教育に携わる大人30名、9日には幼児年長組、小学校1年生から4年生25名、10日は小学校5年生から6年生及び中学生25名を対象として、斎正弘さんによるワークショップを実施、11日には上野市立東小学校の体育館で元永定正さんによる《紙をよごす・やぶる・しばる・つるすワークショップ》を実施した。参加希望者が多数あったため抽選によって参加者を決めたが、11日のワークショップには抽選にもれた子どもたちも参加いただいた。8日の午前中は美術とは何かをテーマとした斎さんの講義があり、午後は糸引き、手をゆっくり動かす微動、B5版の紙を鉛筆で塗りつぶし、白い部分をトレースして再構成するプログラムによって美術を体験し、9日、10日は、裸足で外に出て熱いコンクリートの上でゴミ拾いをしたり、鏡で上を見ながら歩いたり、新聞紙を細かく裂いて一斉に上に上げて楽しんだり、コスリ出しなどで自分なりの絵本(?)をつくって楽しんだり、駐車場に絵具で色をつけ、みんなで洗い流す作業など、子どもたちは知覚することを楽しみながら五感を確認する活動を行った。11日の元永さんのワークショップでは、刷毛、ホウキ、水鉄砲、ビー玉、テニスボール、サッカーボール、下駄などを筆として、大きな紙、布、ダンポールなどに描いたり、絵具を流したりして、あとはみんなで片付けをして終了した。

宮川村では、ファシリテイターとして関口怜子(ハート&アート空間“ビーアイ”代表)さん、アーティストとして彫刻家の柳楽隆一(大阪芸術大学講師)さんによるワークショップを、8月23日から4日間、大きな木や細い雑木、和紙などを材料として実施した。23日は宮川村立大杉小学校体育館で美しい絵具で色を楽しみながら和紙に垂らし、それを手で切って自分で置く場所をデザインしてパウチしたり、宮川村のすてきを100倍に表現、24日からは宮川村桧原のほたるの里周辺で木を切り倒し皮を剥くことからスタートして、ワンダーランド・フォーレスト・オプ・サーカスと称した、なりたかったものになって居場所をつくるワークショップから、各自がそれぞれの思いを表現し、さらにどんどん好きなように発展させていくオリジナル・ワークショップヘとつながっていった。

なお来年2月には子どもたちが美術館に集合して、今度はアーティストが中心となってワークショップを行い、さらに子どもたちも参加して共同作業によってその体験を展示室いっばいに展示するよう計画している。

(もりもとたかし・普及課長)

友の会だより 40号 1995.12.10

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