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美術館 > 刊行物 > 年報 > 2018年度版 > 年報2018年度版 地域の独創的な芸術活動体験事業

年報2018年度版 【地域の独創的な芸術活動体験事業】

事業実績

本事業では、以下のプログラムの企画・運営を行い、創作活動を含むプログラムについては、成果作品の展示を行った。
 

1)【プログラム】日本画の技法・材料を知り、体験するワークショップ

講師:阪野智啓、安井彩子(以上愛知県立芸術大学文化財保存研究所教員)+学生アシスタント3名
対象:玉城町立有田小学校3・4年生63名
日時:2018年10月12日(金)10:00-14:00(休憩含む)
美術館担当者:村上敬、道田美貴、藪沙織、貴家映子、髙曽由子、太田聡子(以上学芸普及課スタッフ)
会場:三重県立美術館美術体験室、会議室、企画展示室
概要・当日の流れ:
3年生と4年生の2グループに分かれ、はじめに3年生が「日本画*大研究」展(2018年9月11日-10月14日)の鑑賞(美術館についての簡単なレクチャーののち、竹内栖鳳《虎・獅子図》等、金箔使用作品を中心に鑑賞)、4年生が金箔を使用した創作活動(うちわの創作体験/講師による指導)を行い、昼食休憩の後、3年生が創作活動、4年生が展示室での鑑賞を行った。作品の制作過程を実演やレクチャーによって学び、実際に箔押しの体験をすることで、作品を鑑賞する際に参加者に新たな視点、関心が生まれることを目標とした。
児童の当日の反応:
・岩絵具を袋の上から触って「片栗粉みたい」「すごい」
・筆の使い方について「習字と一緒だ」
・竹内栖鳳《虎獅子図》を見て「近くで見たら、毛並みが見えた」「金箔が一枚一枚貼っててすごい」「立体的」
・岩絵具の展示を見て「きらきらしてる」「こんなきれいな石を使ってもったいない」
 

2)【成果展示】1)のワークショップの成果展示

会期:2018年10月13日(土)、14日(日)9:30-17:00
会場:三重県立美術館1F廊下(フリーゾーン)
観覧者数:384名
展示の様子:

 

3)【プログラム】ワークショップ「記憶の山をつむぐ」1

講師:藤原康博(「Para-Landscape」展出品作家)
対象:三重県立飯野高等学校応用デザイン科美術コース2年生31名
日時:2018年12月7日(金)5・6限(12:45-14:15)
学校担当者:長谷川八兄、伊藤龍彦、安田渉(以上教員)、橋本一哉(校長)
美術館担当者:貴家映子、鈴村麻里子、髙曽由子(以上学芸普及課スタッフ)
会場:三重県立飯野高等学校
事前課題:
「気になる山」や「心に残っている山」(実在の山に限らない)を思い描く。必要であれば写真等の準備をする。
概要・当日の流れ:
当館で開催する「Para-Landscape」展(2019年1月4日-3月24日)の出品作家の1人である、伊賀市在住の藤原康博氏を講師に迎え、講師の制作活動とリンクしたワークショップを美術専攻の高校生対象に行った。このワークショップは前半、後半の2部から構成され、前半では「気になる山」の制作、後半では個々の山の稜線をつなぎ合わせる活動を行った。
まず藤原氏が自身の制作活動について生徒に紹介した後、今回のワークショップの「気になる山を描く」というテーマに合わせて制作した作品を紹介し、描く対象について説明。最終的に個々の作品に描かれた稜線をつなぐため、稜線の両端が、紙の右辺と左辺に触れるように描くことが条件とされた。画材は参加者自身が選択して持参。支持体には八つ切から四つ切程度の白い画用紙や、色のついた画用紙を使用した。6グループに分かれて制作。
思い思いに「気になる山」を描いた後、渡り廊下に移動し、グループ毎に5-6名のグループのメンバーの作品の最良の配置について話し合い、並べ替えを行った。それぞれのグループ代表者がその配置に至った理由を発表し、藤原氏によるコメントを皆で聞くところで授業終了となった。希望者は後日作品に加筆。また、美術館で作品を展示する際に作品と一緒に掲示するために、各自コメント(どのような山を描いたのか、なぜそれを選んだか)も用意した。
参加生徒のコメント(キャプションより):
・なぜこの山をかいたかというと、私の名前の由来だと両親に聞いて、縁を感じたからです。(中略)思い出や景色を詰めて、思い出の中の理想の山と○○山をかきました。
・なぜ、この山を選んだのかと言うと、私のおじさんがよくつれて行ってくれた思い出の山だからです。(中略)おじさんはもうなくなってしまいましたが、この山を見るとおじさんのぬくもりを思い出せます。
 

4)【プログラム】身近なモチーフを新しい素材や方法を使いながら再発見し、採取し構成するワークショップ

講師:稲垣美侑(「Para-Landscape」展出品作家)
対象:津市立北立誠小学校2年生79名
日時:2019年1月18日(金)1-4限(8:50-12:20)※3クラス中1クラスは学級閉鎖となったため、後日教員の指導により制作を行った。
学校担当者:鎌田紀子、山口由美子、坂倉涼(以上2年生教員)、黒田雅夫(校長)
美術館担当者:貴家映子、鈴村麻里子、原舞子、髙曽由子(以上学芸普及課スタッフ)
場所:津市立北立誠小学校体育館、校庭
概要・当日の流れ:
三重県が自身のルーツと深く関係する地域であり、県内での作品の展示機会も多い作家・稲垣美侑氏を講師に迎え、小学校2年生を対象に、フロッタージュとコラージュを行うワークショップを開催した。
当日はまず制作場所や作品の写真を見せながら稲垣氏を紹介し、続いて作家自身がワークショップの方法を参加者に説明した。2部構成のワークショップの前半では校庭にあるさまざまなものの上に半透明のフィルムを重ね、色鉛筆を使ってフロッタージュを行った。後半では、体育館でフロッタージュのつづきをした後、フロッタージュを施したフィルムを好きな形に切り抜いて、それらのパーツを、台紙(フィルム)に接着剤で貼り付けるコラージュを行った。
フロッタージュで集めるものの選択だけでなく、使用する色の選択にも参加者個人の嗜好や感性が現れるように、種類豊富な150色の色鉛筆を準備した。今回、作家が支持体として選んだ製図に用いられる半透明のフィルムは、つるつる/ざらざらした触感も楽しめる素材であった。文字やロゴマークが入ったモチーフ(金属製の蓋など)が、フロッタージュをする参加者たちの人気を集めていた。フィルムを切り抜き、貼り付ける段階では、パーツから何か具体的なもの(動物や建物など)を想像して、その形に合わせて切り抜きやコラージュを行う参加者もいれば、色とかたちに注目して抽象的な表現を生み出す参加者もいた。
参加者の声より:
・絵をうつして書くと、そのものが出てくるのでおもしろかったです。
・ざらざらのところをすきないろでこするとかたちができてきて、すごいなっとおもいました。
当日の様子 撮影:尾崎芳弘(DARUMA):

 
掲載:
『広報津』317号、2019年3月1日、1ページ★別添
 

5)【プログラム】ワークショップ「記憶の山をつむぐ」2

講師:藤原康博(「Para-Landscape」展出品作家)
対象:小学生以上の参加者13名(うち高校生1名、中学生2名、小学生1名)
日時:2019年1月26日(土)14:00-16:00
担当者:貴家映子、鈴村麻里子、髙曽由子、太田聡子(以上学芸普及課スタッフ)
場所:三重県立美術館美術体験室
製作物:広報チラシ(デザイン:溝田尚子)
チラシ(1.3MB)
当日の流れ:
3)と共通テーマのワークショップを、対象を一般に広く募集して開催した。ただし3)に比べて開催時間が長く、さまざまな年齢層の人々が参加したので、全体的に余裕をもって進行を行った。
3)のワークショップでは最後に全員の作品を一つの大きな山にする(すべての稜線をつなげる)段階までは至らなかったが、今回は山をつなげる活動にも時間をかけて、講師の藤原氏と参加者が作品の配置を変えながら、最も良い配置を決めていった。
最後に何人かの参加者には自分が描いた山の紹介をしてもらった。
参加者の声(フィードバックより抜粋、編集):
・自分でも思った以上に制作に没頭できました。これまで過去に出会った山の記憶を辿ることは滅多になかったので、面白い機会となりました。
当日の様子 撮影:尾崎芳弘(DARUMA):

 

6)【成果展示】3)4)5)のワークショップの成果展示

会期:2019年1月30日(水)-3月10日(日)9:30-17:00
休館:月曜、ただし2月11日(月・祝)は開館し、2月12日(火)休館
会場:三重県立美術館 1F廊下等のフリーゾーン
製作物:広報チラシ、配布用リーフレット、解説パネル(デザイン:溝田尚子)
チラシ(1.3MB)、配布用リーフレット(0.9MB)
観覧者数:2,040名
展示方法:
3)2Fギャラリーにボードを設置し、その上にグループ毎の配置を活かしながら、それらを組み合わせて稜線をつなげた。生徒のコメントも一緒に展示。
4)1F廊下のガラス面手前のピクチャーレールを使用し、クラス毎に連結した作品を吊り下げて展示。展示作業には稲垣氏も参加し、児童の作品とともに自身のコラージュも展示した。
5)1F廊下にパネルを設置し、ワークショップの最終段階で完成させた順番のとおりに展示を行った。参加者のコメントも作品とともに展示。
展示風景 左から3)4)5):

     

7)【プログラム】「春分の日の風景さんぽ」

講師:片山一葉(津市出身作家)、尾野訓大(「Para-Landscape」展出品作家)
対象:小学4年生以上の参加者12名
日時:2019年3月21日(木・祝)13:00-15:30
担当者:貴家映子、鈴村麻里子、髙曽由子(以上学芸普及課スタッフ)
場所:三重県立美術館とその周辺
製作物:広報チラシ (デザイン:溝田尚子)
チラシ(1.3MB)
概要・当日の流れ:
当館の位置する地域の近辺で育ったアーティストである片山氏の進行で、美術館周辺を「さんぽ」しながら気になったものを記録し、フィルムを互いに見せ合い、風景の経験全体を共有するプログラム。
当日は、風景画や風景写真の点景人物の視点に関する簡単なレクチャーの後、館外に出て、美術館の周辺(大谷町、観音寺町)を歩きながら2人1組で簡易キットを使用し撮影に取り組んだ。ツアーには、もう1人の講師として「Para-Landscape」展出品作家である尾野訓大氏も参加し、参加者とともに撮影を行った。
散歩から戻り、休憩を経た後、それぞれが撮影した写真を並べて鑑賞し、撮影者本人や片山氏、尾野氏によるコメントを聞く時間が設けられた。個人の視点や構図の切り取り方の特徴も把握できたばかりか、異なる参加者が、異なる時間に同じ構図で同じモチーフを撮影しているという発見もあった。
閉会後、希望者には当館の屋上を案内し、さんぽで廻った美術館周辺の風景や、津市全景を俯瞰する体験をしてもらった。屋上でもひきつづき撮影が行われた。

8)その他

4)のプログラムの対象校となった津市立北立誠小学校とは年間を通じて連携を行ったため、教員向けのガイダンスや、児童に向けた美術館や展覧会についてのレクチャーも実施した。



地域の独創的な芸術活動体験事業 入札に関して

 
ページID:000226761