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美術館 > 展覧会のご案内 > 常設展(美術館のコレクション) > 2017 > 美術館のコレクション(2017年度常設展示第3期)作品リスト

美術館のコレクション(2017年度常設展示第3期)

2017年9月26日(火)-12月24日日)
 

第1室、第2室
「凸(やま)と凹(たに)、平原と空  所蔵品でめぐる版画の小さくて大きな世界」 

制作年や技法の記されたキャプションを読んでいたら、聞き慣れない言葉にぶつかって、せっかくの魅力的な作品が近寄りがたく感じてしまった。そんな経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。とりわけ版画と総称されるジャンルのカタカナで記された種々の技法は、一つ一つ覚えることも難しく、その技法独自の表現や特徴までを味わいつくすことは容易ではありません。

このたびの常設展示では、そんな版画の世界により親しんでいただけるよう、当館所蔵の代表的な版画作品を技法ごとに展示し、その制作手順と特徴をごく簡単に紹介したパネルとともにご覧いただきます。

版画は、版そのものの形状によって四つに大きく分類することができます。彫り残して山になった部分にインクがのる凸版、彫り削って谷になった部分にインクを詰める凹版、化学変化を利用するため平らなままの平版、版に開けた孔を通してインクを摺りとる孔版です。つまり、出来上がりは一枚の平らな紙であっても、その元となる版の成り立ちを知ってしまえば、そこには、山あり谷あり、平野があって、空から雨も降る、そんな豊かな世界が広がっているのです。平らなようで奥深い版画の世界を、旅するように気楽に巡ってください。そうして別の機会に出会う版画たちにも親しみと関心を抱いていただければ幸いです。

なお、平版に分類されるリトグラフに関しては、特に焦点を当てて取り上げています。実際に版に凹凸ができるわけではないために、その理解がとりわけ難解である同技法についてより分かりやすくお伝えできるよう、所蔵のロートレックによる初期代表作の再制作を試み、その成果と記録を展示しています。

再制作にあたっては、アーティストの片山浩氏ならびに名古屋芸術大学の学生たちにご協力いただきました。異なる色をどのように重ね、あるいは並置してロートレック独自の明快な画面を生み出しているのか、じっくりとご覧ください。

加えて、工事のために長期休館中の滋賀県立近代美術館からお預かりしている版画作品もあわせて展示いたします。滋賀と三重、両美術館のコレクションの競演もお楽しみください。

第1室

 
作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法 備考
カンディンスキー、ワシリー 1866-1944 版画集 『小さな世界』 全12点 1922年 木版、 リトグラフ、ドライポイント・紙 35.5×28.0他  
歌川広重 1797-1885 「丸清版・隷書東海道五十三次」より(庄野) 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×34.3 三菱東京UFJ銀行寄贈
歌川広重 1797-1885 「丸清版・隷書東海道五十三次」より(水口・平松山美松) 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×34.3 三菱東京UFJ銀行寄贈
藤森静雄 1891-1943 けし  1 1914年(大正3)年 木版・紙 20.5×9.8  
藤森静雄 1891-1943 失題 B 1914年(大正3)年 木版・紙 22.3×10.6  
恩地孝四郎 1891-1955 そらにかかるもの 1914年(大正3)年  木版・紙 13.5×10.9 1989年恩地邦郎摺
恩地孝四郎 1891-1955 のこるこころ 1915年(大正4)年 木版・紙 15.0×13.6 1989年恩地邦郎摺
恩地孝四郎 1891-1955 抒情・いとなみ祝福せらる 1915年(大正4)年 木版・紙 13.5×9.7 1989年恩地邦郎摺
恩地孝四郎 1891-1955 抒情・慈に泪す 1915年(大正4)年 木版・紙 13.6×9.3 1989年恩地邦郎摺
斎藤清 1907-1997 会津の冬 (5) 1958(昭和33)年 木版・紙 38.0×53.0 作者寄贈
上野誠 1909-1980 ヒロシマ三部作 男 1959(昭和34)年 木版・紙 45.4 ×30.0 奥田豊氏寄贈
上野誠 1909-1980 希望 1964(昭和39)年 木版・紙 59.4×38.1 1995年再刷
奥田豊氏寄贈
木下富雄 1923-2014 Face(顔と手) 1959(昭和34)年 木版・紙 40.5×22.5 杉浦高己氏寄贈
木下富雄 1923-2014 Face(少女) 1959(昭和34)年 木版・紙 45.5×32.0 杉浦高己氏寄贈
笹島 喜平   少年 1955(昭和30)年 木版・紙 22.5×22.5 清水画廊寄贈
棟方志功 1903-1975 涼湖の柵 1954(昭和29)年 木版・紙 10.5×14.0  
棟方志功 1903-1975 合浦浜まい瑰華の柵 1955(昭和30)年 木版・紙 12.5×14.0  
北岡文雄 1918-2007 海を渡ってスイスに逃れるヘンリーとキャサリン 『武器よさらば』から 1966(昭和41)年 木版・紙 17.5×12.5 清水画廊寄贈
北岡文雄 1918-2007 カポレットの退却 『武器よさらば』から 1966(昭和41)年 木版・紙 17.5×12.5 清水画廊寄贈
北川民次 1894-1989 瀬戸十景より(土堀り場) 1937(昭和12)年 リノカット・紙 9.0×12.7  
北川民次 1894-1989 瀬戸十景より(煙突のある風景) 1937(昭和12)年 リノカット・紙 19.7×13.2  
ヴラマンク、モーリス・ド 1876-1958 『辺境伯』挿絵本  ル・ビアン著 1955年 木版・紙 24.0×18.8 2点を展示
マイヨール、アリスティード 1861-1944 『ダフニスとクロエ』挿絵本 1937年 木版・紙 21.0×13.9 2点を展示
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第7図: ヨブを慰める人たち 『ヨブ記』2:9-12  1825年 エングレーヴィング・紙 21.5×16.8  
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第9図: エリパズの幻視 『ヨブ記』4:13-17   1825年 エングレーヴィング・紙 21.5×16.8  
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第19図:施しを受けるヨブ 『ヨブ記』42:11
  
1825年 エングレーヴィング・紙 21.5×16.8  
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第20図:ヨブと娘たち 『ヨブ記』42:13-15  1825年 エングレーヴィング・紙 21.5×16.8  
中谷泰 1909-1993 寒林 1978‐69(昭和53-54)年 ドライポイント・紙 25.5×20.5  
若林奮 1936-2003 版画集「ノート鮭の尾鰭」 全14点 1978(昭和53)年 エッチング、ドライポイント・紙 26.5×35.0 9点を展示
浜口陽三 1909-2000 ぶどう 1965(昭和40)年 メゾチント・紙 29.0×34.0  
浜口陽三 1909-2000 14のさくらんぼ 1966(昭和41)年 メゾチント・紙 52.0×25.0  
長谷川潔 1891-1980 版画集「ポートレート」   1963(昭和38)年 銅版画・紙 33.0×25.5 4点を展示
ティソ、ジェームズ(ティソ、ジャック=ジョセフ) 1836-1902 1878年 エッチング、 ドライポイント・紙 37.6×20.8  
メリヨン、シャルル 1821-1868 プチ・ポン 1850年 エッチング、 ドライポイント・紙 25.3×18.5  
ビゴー、ジョルジュ 1860-1927 日本素描集(クロッキ・ジャポネ)  全31点 1886年 エッチング・紙 33.5×26.0 2点を展示
ピサロ、カミーユ 1830-1903 農夫モロン親爺 1879年 エッチング・紙 10.5×16.3  
ピサロ、カミーユ 1830-1903 鋤で耕す農婦 1890年 エッチング・紙 11.5×11.9  
ヨンキント、ヨハン・バルトルト 1819-1891 オランダ風景銅版画集  6点組+扉絵 1862年 エッチング・紙 35.5×51.6 2点を展示
ノルデ、エミール 1867-1956 ハンブルク港 1910年 エッチング、アクアチント・紙 30.5×40.5  
ノルデ、エミール 1867-1956 引き舟 1910年 エッチング・紙 19.8×27.9(紙38.0x48.9)  
ニコルソン、ベン 1894-1982 パロスの木 1968年 エッチング、 アクアチント・紙 24.8×41.2  
駒井哲郎 1920-1976 束の間の幻影 1951(昭和26)年 エッチング、アクアチント・紙 17.3×28.4  
浜田知明 1917- 1951(昭和26)年 エッチング、アクアチント・アルシュ紙 15.3×14.8  
浜田知明 1917- 1952(昭和27)年 エッチング、 アクアチント・アルシュ紙 17.1×10.9  
斎藤寿一 1931-1992 波と月 (B) 1964(昭和39)年頃 エッチング・紙 41.0×30.0  
斎藤寿一 1931-1992 波と月 (B) 1964(昭和39)年頃 エッチング・紙 41.0×30.0  
池田満寿夫 1934-1997 青い椅子 1966(昭和41)年 ドライポイント、 ルーレット、 エングレーヴィング・紙 45.6×40.0  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(18)《葬って後は口を噤め》 1810-20年 エッチング、ラヴィ、ドライポイント、ビュラン・紙 14.0×19.8  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(45)《そしてこれも見た》 1810-20年 エッチング、アクアティント(?)、ドライポイント、ビュラン・紙 14.0×19.8  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 妄(2)《恐怖の妄》 1815-24年
出版:1930年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント(?)・紙 24.4×35.5
(紙38.0×56.0)
 
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 妄(21)《畜生の妄》 1815-24年
出版:1930年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント(?)・紙 24.4×35.5
(紙30.6×43.8)
 
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 妄(11)《貧の妄》 1815-24年
出版:1930年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、ビュラン・紙 24.4×35.5
(紙38.0×56.0)
 
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 妄(4)《大阿呆》 1815-24年
出版:1930年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ビュラン、ドライポイント(?)・紙 24.4×35.5
(紙38.0×56.0)
 
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 闘牛技(17)《角先を木球でくるんだ牡牛から身を守るため、驢馬を盾にするモーロ人たち》 1815-16年(第4版:1905) エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、ビュラン・紙 27.8×43.5  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 闘牛技(19)《同じ闘牛場でマルティンチョが見せたもう一つの狂気の沙汰》 1815年(第4版:1905) エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、ビュラン・紙 27.8×43.5  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 闘牛技(27)《有名なピカドール、フェルナンド・デル・トーロは突き棒で牡牛をけしかける》 1815-16年(第4版:1905) エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、ビュラン・紙 27.8×43.5  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 闘牛技(D)《闘牛士は助手に肩車され、長槍で牡牛を突く》 1815-16年(第4版:1905) エッチング、アクアティント、ラヴィ、、ドライポイント、ビュラン・紙 27.8×43.5  
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(1)<扉絵:市門に立つキリスト> 1935年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙 39.0×22.0  
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(6)<キリストと貧者たち> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙 29.0×20.7  
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(9)<この苦しむ人を見よ> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙 30.5×21.3  
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(13)<羽飾りをつけた婦人> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙 31.0×21.0  
ミロ、ジョアン  1893-1983 岩壁の軌跡 全6点 1967年 エッチング、アクアチント・紙 58.5×92.5 1点のみ展示
ブラック、ジョルジュ 1882-1963 静物Ⅰ 1911年 エッチング・紙 34.6×21.7 滋賀県立近代美術館所蔵
ピカソ、パブロ 1881-1973 僧院 1910年 エッチング・紙   滋賀県立近代美術館所蔵
ピカソ、パブロ 1881-1973 長椅子のレオニー嬢 1910年 エッチング・紙   滋賀県立近代美術館所蔵
ピカソ、パブロ 1881-1973 犬を連れた人 1910年 エッチング・紙   滋賀県立近代美術館所蔵
中西夏之 1935-2016 白いクサビ-日射の中で  全6点 1987(昭和62)年 アクアチント、ドライポイント・紙   2点を展示
石井茂雄 1933-1962 不詳(崩壊する都市、落下する人体) 1958(昭和33)年 エッチング、アクアチント・紙 13.6×19.4  
石井茂雄 1933-1962 人工山脈 1960(昭和35)年、1994(平成6)年再刷 エッチング、アクアチント・紙 23.4×43.8  
土嶋敏男 1942- 人と物(食物考) 1984年 エッチング・紙   作者寄贈

 

第2室 トゥールーズ=ロートレック《ムーランルージュのイギリス人》とその再制作について

トゥールーズ=ロートレックは、19世紀末のフランスを代表する画家、版画家、ポスター作家。パリ、モンマルトルのキャバレーやダンスホール、娼館に足繁く通い、ダンサー、歌手、娼婦などの人間像を鋭い観察眼と巧みなデッサン力で活き活きと描き出した。19世紀半ばに美術作品として顧みられなくなっていたリトグラフ版画が、世紀末に再び脚光を浴びたのには、ロートレックが生み出した優れたポスター作品や版画集の果たした役割が大きい。
 
今回の特集展示に際して再制作を試みたのは、その初期の代表作である《ムーランルージュのイギリス人》(1892年)である。主役であるブルジョワ男性客のモデルとなったのは、ロートレックの友人でもあったイギリス人画家ウィリアム・ウォーナー。そのやや誇張され露わに描かれた表情と、半ば隠され心情を読み取ることができない女性たちの様子が対照的で、ダンスホールでの一瞬の駆け引きが洒脱に表現されている。
カタログ・レゾネの著者ヴィトロックによれば、通常、ロートレックの多色刷りリトグラフは6版か5版で成り立っている。しかし、本作品では少なくとも6版の刷りが重ねられており、この前年に本格的に取り組み始めたリトグラフ制作の修練の結果として入念に仕上げられた一枚と言えるだろう。
 
ロートレックは、当時すでに流通していたジンク版(亜鉛版)を用いることは稀で、ほとんどの作品が石版上で生み出されたとされる。今回は、本作品を刷るほどの大きな石版を確保することが難しく、また6版にわたって石を安定して取り扱うには困難を伴うため、4版目をのぞく版がアルミ版によって制作されている。
再制作にあたっては、カタログ・レゾネの記載を参考にしつつ、所蔵作品の熟覧を経て、計6版に画面を分割した。主要な輪郭線となっているオリーブグリーン、背景の壁や前景の椅子の背をあらわしたイエロー、女性の肌や髪のオレンジ、男性のシルエットを広く塗る水色、補助的な輪郭線をなすネイビーブルー、画面を引き締める手袋や首飾りの黒、計6色である。ロートレックがこの限定された色数でどのように画面を構成しているのかを確認することができるように、各版を刷り重ねた途中の状態を一版ずつ展示している。
なお、限定100部で刷られた本作品は、多くの刷りで男性のシルエットの部分が紫色となっている。そのため、同部分が水色の当館所蔵作は稀少な刷りと考えられる。
 
参考文献:
Wolfgang WITTROCK, Toulouse-Lautrec, Catalog complet des estampes 2 vols.,
Paris(Courbevoie), ACR Edition, 1985.

 
作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法 備考
ブレスダン、ロドルフ 1822-1885 死の喜劇 1854年 リトグラフ・紙 22.0×15.2  
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(1)《-その右手に七つの星を持ち、口からは鋭いもろ刃のつるぎがつき出ていた。》 1899年 リトグラフ・紙 28.7×20.9  
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(2)《-わたしはまた、御座にいますかたの右の手に巻物があるのを見た、その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印が封じてあった。》 1899年 リトグラフ・紙 32.0×23.9  
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(3)《・・・そして、それに乗っている者の名は「死」と言った、》 1899年 リトグラフ・紙 30.6×22.5  
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(7)《また、もうひとりの御使が、天の聖所から出てきたが、彼もまた鋭いかまを持っていた。》 1899年 リトグラフ・紙 30.8×21.0  
ミュシャ、アルフォンス 1860-1939 ジョブ 1898年 カラーリトグラフ・紙 141×94.0  
ドーミエ、オノレ 1808-1879 『古代史』より「オデュッセウスの帰還」 1842 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 1808-1879 『古代史』より「ハンニバルの進軍」 1842 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
トーロップ、ヤン 1858-1928 種蒔く人 1895年 リトグラフ・紙 21.9×33.3  
長原孝太郎 1864-1930 第6回白馬会展ポスター 1901(明治34)年 リトグラフ・紙 34.5×50.0 長原坦氏寄贈
トゥルーズ=ロートレック、アンリ・ド 1864-1901 ムーランルージュのイギリス人 1892年 リトグラフ・紙 47.5×37.0  
ヴラマンク、モーリス・ド 1876-1958 『無告の民』 挿絵本  ジョルジュ・デュアメル著 1927年 リトグラフ・紙/エッチング・紙 29.2×4.3  
ミロ、ジョアン 1893-1983 アルバム13   1948年 リトグラフ・紙 56.0×45.0 4点を展示
ピカソ、パブロ   パピエ・コレ 1910-1914 1966年 リトグラフ・紙   滋賀県立近代美術館所蔵
シャガール、マルク 1887-1985 版画集「サーカス」 より 1967年 リトグラフ・紙 42.0×32.0, 42.0×64.0 4点を展示
(公財)岡田文化財団寄贈
ムーア、ヘンリー 1898-1986 版画集『ストーンヘンジ』
全18点組
1971-73年 リトグラフ、エッチング・紙 45.8×58.4 全18点中2点を展示
エッシャー、M.C. 1898-1972 物見の塔 1958年 リトグラフ・紙 46.1×29.5  
ローゼンクイスト   話し中 25569 リトグラフ・紙 40.3×53.6  
瑛九 1911-1960 渡り鳥 1957(昭和32)年 リトグラフ・紙 42.5×27.5  
瑛九   シルク(サーカス)  1957(昭和32)年 リトグラフ・紙 26.5×18.5  
加納光於 1933- 版画集「稲妻捕り」   1977(昭和52)年 リトグラフ・紙 59.0×46.0 全12点中2点を展示
菅井汲 1919-1996 愛人たち  全5点 1988(昭和63)年 リトグラフ・紙 各81.0×60.0 全5点中3点を展示
モランディーニ,
マルチェッロ
1940- シルクスクリーン A 1991年 シルクスクリーン・紙 50.0×50.0  
モランディーニ,
マルチェッロ
1940- シルクスクリーン B 1991年 シルクスクリーン・紙 50.0×50.0  
小野木学 1924-1976 版画集 「風景」  全10点 1974(昭和49)年 シルクスクリーン・紙 30.0×30.0 全10点中2点を展示
田中一光 1930-2002 綱  全3点 1974(昭和49)年 シルクスクリーン・紙 47.9×69.8 竹沢智治氏寄贈
宇治山哲平 1910-1986 オリジナル版画集 1972(昭和47)年 シルクスクリーン、木版・紙 46.2×36.5 2点を展示
リクテンスタイン、ロイ 1923-1997 娘についての省察 1990年 リトグラフ、 シルクスクリーン、木版・紙 114×139  
靉嘔 1931- Mr.& Mrs. Rainbow gymnastics No.1 1974(昭和49)年 シルクスクリーン・紙 72.5×51.0  
横尾忠則 1936- Family - Tadanori 1974(昭和49)年 シルクスクリーン・紙 82.3×59.7 竹沢智治氏寄贈
高松次郎 1936-1998 『版画集 水仙月の四日』より「雪は夜じゅう降って降ったのです」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 56.5×76.5 全4点中の1点
野田哲也 1940- 日記:1989年8月5日 1989(昭和64/平成元)年 木版, シルクスクリーン・紙 46.5×63.0  
福井良之助 1923-1986 からすと花 1956(昭和31)年 孔版・紙 27.0×18.0  
福井良之助 1923-1986 かたつむりと葉 1963(昭和38)年 孔版・紙 19.0×38.0  

 
関連イベント

体験コーナー:いろいろ版画のつまみ食い *終了しました
11月11日[土]、12日[日]各日 午後1時~4時半
※開催時間中、随時ご参加いただけます。
常設展示室入口にて/要観覧券/参加申込不要
講師:伊藤公子氏、酒井裕里氏、瀬古清水氏、西村怜奈氏
さまざまな版画技法の材料や道具に直接触れて、各技法の特徴をつまみ食いのように体験していただきます。体験後、展示室に足を踏み入れれば、版画が一味違って見えるかも?


ギャラリートーク *終了しました
10月29日(日)、11月19日(日) 両日ともに午後2時~
展示室にて/要観覧券/約30分を予定/参加申込不要
学芸員が展示について分かりやすく解説します。

ワークショップ:はじめてでもできる銅版画のテクニック *終了しました
11月25日[土]午後1時~5時
美術体験室にて/参加無料/定員7名/要申込・応募者多数の場合は抽選
講師:宮田雪乃氏
銅版画の代表的な技法のひとつであるドライポイントを、モノクロ刷りとカラー刷り両方で体験します。
銅版ではなく透明な塩ビ版を用いることで展示作品のトレースをし、技法と作品の理解を深めながら制作します。

レクチャー:リトグラフって何だろう? *終了しました
12月9日[土]午後2時~4時
美術体験室にて/参加無料/定員40名/要申込・応募者多数の場合は抽選
講師:片山浩氏
水と油が反発しあう性質を用いた版画技法「リトグラフ」、またの名を「石版画」。この技法が持つ魅力や謎めいた制作過程を、実演を交えてレクチャーします。


【申込方法】
ワークショップおよびレクチャーに参加をご希望の方は、往復はがきに、お名前、お電話番号、学年(小学生以下の場合のみ)、返信面に返信先をご記入の上、
〒514-0007津市大谷町11 三重県立美術館 「版画ワークショップ」係あるいは「版画レクチャー」係
までお送りください。

*応募締切/ワークショップ…11月5日(日)必着
          レクチャー…11月19日(日)必着

それぞれ開催の10日前までに抽選結果を返信はがきでご連絡します。
ワークショップについては、小学生以下の参加者はかならず保護者が1名同伴してください。

 

第3室
自画像とその他の肖像画

1階企画展示室で開催中の「本居宣長展」(9月30日[土]~11月26日[日])では、17点の宣長像が出品されています。本展示室では、これにちなんで、近代以降に日本で描かれた自画像を中心に肖像画を特集展示いたします。

自らデザインした衣を身につけ、硯と墨や山桜を配した宣長の自画像は、自分が何者であるか、そして、それが正しく伝わるかどうか、を強く意識して描かれたいわば自己演出されたものです。一方、本展示室に集められた近代以降の自画像は、自らのアイデンティティを明示、伝達することよりも、むしろ、そのありかを探るような切迫した意識が感じられます。他にも、自己をモデルに造形上の試行錯誤をしたり、現実には見えない内面を吐露せんとしたり、江戸時代に描かれた宣長像とは異なる表現や制作の企図を見てとることができるでしょう。

あわせて展示している肖像画の多くは、画家の妻や子供、友人など親しい人物を描いた作品です。まるで遺影のように畏まった姿から、演出とは無縁のくつろいだ姿まで、時代や描かれた契機、モデルとの関係性によって変化する、様々な家族像、仲間の像が表現されています。

当館が所蔵する代表的な肖像画である、スペインの宮廷画家ゴヤによる一軍人のやや疲れた表情や、岡田三郎助が描いたのちに衆議院議員となる人物の若かりし頃、影響を受けた詩人二人をモデルとし両者の対照的な性質を浮き彫りにした恩地孝四郎の木版画なども展示しています。いくらか公的な関係性や機会において描かれたこれらの作品は、自画像や親しい人々を描いたスケッチなどと比較すると、どのように異なっているでしょうか。

ちなみに、当館を代表する自画像、藤田嗣治作《猫のいる自画像》は残念ながら貸出中。とはいえ、あえて画像をお見せしなくとも、「フジタ」と聞いて、おかっぱ頭に丸メガネのあの姿を思い浮かべることができたのではないでしょうか。画家のイメージと美意識を、現代の我々にもしっかりと植えつけた藤田の自画像こそ、宣長の自画像に最も近しいものかもしれません。作品そのものがもはや不在であってもイメージが容易に想起される、自画像を通したアピール戦略は見事に成功しています。

作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法 備考
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 アルベルト・フォラステールの肖像 1804年頃 油彩・キャンバス 45.9×37.5 (公財)岡田文化財団寄贈
ノルデ、エミール 1867-1956 肖像(アダ・ノルデ) 1906年 エッチング・紙 19.3×15.3  
ノルデ、エミール 1867-1956 自画像 1907年 リトグラフ・紙 44.5×32.0  
ミュラー、 オットー 1874-1930 自画像 1921-22年 リトグラフ・紙 39.3×30.0  
ジャコメッティ、アルベルト 1901-1966 12枚のオルバンダーレの肖像より 1962年 エッチング・紙 13.7×10.2  
ジャコメッティ、アルベルト   室内の人物 1965年 リトグラフ・紙    
中原悌二郎 1888-1921 石井鶴三氏像 1916(大正5)年 ブロンズ H40.0  
石井鶴三 1887-1973 中原氏像 1916(大正5)年 ブロンズ H56.8  
岡田三郎助 1869-1939 岡部次郎像 1898(明治31)年 油彩・キャンバス 45.7×37.5  
恩地孝四郎 1891-1955 『とんぼの眼玉』の著者 北原白秋像 1943(昭和18)年 木版・紙 56.0×44.0  
恩地孝四郎 1891-1955 『氷島』の著者 萩原朔太郎像 1943(昭和18)年 (1987年再刷) 木版・紙 55.4×44.0  
長原孝太郎 1864-1930 自画像 1900(明治33)年 油彩・キャンバス 45.5×33.5 長原坦氏寄贈
中澤弘光 1874-1964 母の像 1911(明治44)年 油彩・キャンバス 60.4×50.0 福原満洲雄氏寄贈
湯浅一郎 1869-1931 中澤弘光像 1902(明治35)年 油彩・板 33.1×23.3 三井弦氏寄贈
中澤弘光 1874-1964 しげ子の顔 大正末期 油彩・キャンヴァス 27.7×22.3 三井弦氏寄贈
青木繁 1882-1911 自画像 1905(明治38)年 油彩・厚紙 33.7×24.6  
関根正二 1899-1919 自画像 1918(大正7)年 インク・紙 26.8×19.2  
村山槐多 1896-1919 自画像 1916(大正5)年 油彩・キャンバス 60.5×50.0  
佐伯祐三 1898-1928 自画像 1917(大正6)年 油彩・キャンバス 45.5×33.4  
佐伯祐三 1898-1928 米子像 1927(昭和2)年 油彩・キャンバス 53.4×45.4  
中村彝 1887-1924 髑髏のある静物 1923(大正12)年 油彩・板 35.5×25.0  
中村彝 1887-1924 自画像 1922(大正11)年 木炭・紙 28.8×24.2  
中村彝 1887-1924 中原悌二郎像 制作年不詳 コンテ・紙 29.2×21.2  
鈴木金平 1896-1978 中村彝像 1923(大正12)年頃 油彩・板 10.2×17.7 鈴木男波氏寄贈
赤松麟作 1878-1953 白い扇 1941(昭和16)年 油彩・キャンバス 91.0×72.6  吉樹幸子氏寄贈
今西中通 1908-1947 久仁子像 1940(昭和15)年 パステル・紙 32.5×24.5  
鈴木金平 1896-1978 米子像 1922(大正11)年 油彩・キャンバス 45.5×38.0 鈴木男波氏寄贈
鈴木金平 1896-1978 少女の顔 1931(昭和6)年 油彩・キャンバス 53.4×41.3 鈴木男波氏寄贈
鈴木金平 1896-1978 自画像 1914(大正3)年 油彩・板の上に麻布 40.4×31.5 鈴木男波氏寄贈
中谷泰 1909-1993 自画像 1930(昭和5)年 コンテ・紙 47.5×31.5  
宇田荻邨 1896-1980 自画像 1922(大正11)年 鉛筆、木炭・紙 38.2×27.6 (公財)岡田文化財団寄贈
宇田荻邨 1896-1981 病後自画像 制作年不詳 鉛筆、コンテ・紙 29.5×22.3 (公財)岡田文化財団寄贈
橋本平八 1897-1935 自画像 制作年不詳 淡彩・紙 38.2×28.8 寄託品
橋本平八 1897-1935 母像 1925(大正14)年 紙本墨画淡彩 11.8×62.8 寄託品
橋本平八 1897-1935 父像 1926(大正15)年 紙本墨画淡彩 133.0×61.8 寄託品
橋本平八 1897-1935 健吉像 1926(大正15)年 紙本墨画淡彩 133.5×63.3 寄託品
橋本平八 1897-1935 妹雪女之像 1929(昭和4)年 紙本墨画淡彩 134.0×63.5 寄託品
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