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表紙の作品解説 橋本平八《猫 A》

 1922(大正11)年 樟 H35.0cm

吉田 映子(三重県立美術館学芸員)

 橋本平八は短い生涯のなかで、ネコの姿を何度か彫刻しています。 《猫A》 (1922[大正11]年)に加えて、首を曲げて左肩を毛づくろいする《猫》 (1924[大正13]年、東京蛮術大学美術館蔵)や、前足で鞠を抱え込んだ立像の《猫》 (1931[昭和6]年、個人蔵)などがあります。さらには、これらの構想を示す日記のページや木取図、直接、ネコを観察して描いたと思われる素描が残されています。
 平八が彫ったタカやサルなどの動物たちのなかで、ネコが特権的な位置を占めているのは、自身で記した代表作品リストの第1番目に本作を掲げ、 「自分の肖像であり身構え心構えであり技巧の上には方式である」(『純粋彫刻論』 22頁)と記していることからも分かります。
 すくっと佇む《猫A》では、後ろ足の筋肉のしなやかさや、腰回りの柔らかさ、揃えた前足のやや骨ばった様子など、この動物の特徴がよく捉えられており、全体に丸みを帯びた2年後の《猫)よりも写実的な表現となっています。ただ現実のネコよりも細く尖って彫りだされた耳が、眼光の鋭さや頬骨の隆起を目立たせており、そこに、彫刻家本人の面影が宿っているようです。ふいの物音に気が付いたように、首だけをひねって向けたその視線の先には、何が見えているのでしょうか。
 本作品は、 「招き猫亭コレクション 猫まみれ展」 (2016年4月23日[土] 〜6月26日[日])に展示します。展覧会では、コレクター「招き猫亭」が長年収集してきたネコの美術作品350点以上を中心として、《猫A》を初めとする当館のネコ作品も併せてご紹介いたします。

(友の会だより100号、2016年3月31日発行)

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