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表紙の作品解説 藤島武二《大王岬に打ち寄せる怒涛》

田中善明

 この作品を前にすると「男らしさとは何か?」と、ふと思うときがある。最近は、あらゆる世代の、多くの分野の世界で男の存在感が弱まっており、男は普段いったいどこにいるのか、とさえ言われることもある。この現象が良いのか悪いのかはわからないし、落ち着くところに落ち着きつつあるのかもしれないと思うこともある。しかし、少なくとも昭和のはじめ頃までは藤島武二の描く作品のような男が少なからずいたはずだ。

 どうして、この作品を前にすると男らしさについて考えるのかというと、押し寄せる波濤の荒々しさが男らしいと言っているのではない。この荒々しさはおそらく最近流行りの肉食系男子的な要素であろうが、この作品には繊細で静けさをたたえた草食系男子的な要素も遠く水平線上にしっかり表現されている。僕が思うところの男らしさというのは、この作品が出来上がるまでに藤島は苦労に苦労を重ねてようやく出来上がったといわれているにも関わらず、その痕跡を表面に残していないところである。かつて「男は黙って・・・」というビールのコマーシャルがあったように、どれだけ辛かろうともそのことを口にしない、そうした痕跡を残さないのが男らしさの魅力ではないだろうかと思うのである。ここまで考えが及んでさえいても、男になれない僕は、辛かったことは我慢せず、今日も人に泣き言を・・・。

(友の会だより96号、2014年11月30日発行)

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