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土偶(粥見井尻遺跡出土)
どぐう(かゆみいじりいせきしゅつど)

資料の概要

指定区分
指定種別 有形文化財(考古資料)
指定・登録日 2004(H16)年3月17日
市町 明和町
所在地 多気郡明和町竹川
所有者 三重県(埋蔵文化財センター)
員数 2点
構造 -
年代 縄文時代草創期
関係サイト -
関連資料 -

概要

 2点の土偶のうち、1点はほぼ完形で、縦6.8cm、幅4.2cm、厚さは2.6cmである。焼成は良好で、緻密な胎土により製作されており、明黄褐色を呈する。出土時には頭部と体部が分離しており、胴部前面、左側面がやや摩耗している。胴体は逆三角形を呈し、やや厚みをもつ。
 頭部と乳房は別の粘土を貼り付けた後、接合部をなでつけているが、腕は体上部左右端から粘土を引き出して表現する。下肢や顔面等の表現は無い。
 他の1点は頭部のみであるが、前述のそれと同形同大である。長さは2.1cmで、焼成は前述の個体よりやや悪く、胎土もやや粗い。にぶい橙色を呈する。前面は垂直に形成され、後部はやや膨らみをもつ曲線で仕上げられている。調整方法は前記の頭部と同様である。
 これらの土偶は、出土状況から縄文時代草創期(約12,000~11,000年前頃)に属することは明らかである。また、下肢や顔面の表現を欠き、小型である点も、他の古い時期の土偶に共通する特徴であり、矛盾はない。
 土偶は北海道から鹿児島までに1万点余りが知られているが、現時点で草創期の土偶の出土例は他に無く、本件は日本最古のものといえる。土偶の出現は精神文化の本格的な発展を物語るものであり、本件によってそれが縄文時代草創期にまで遡って確認された意義はわが国の歴史上きわめて大きい。
 なお、粥見井尻遺跡は、松阪市飯南町大字粥見字井尻に所在し、平成8年に行われた発掘調査の結果、縄文時代草創期と室町~江戸時代の遺構・遺物が発見された。特に、縄文時代草創期の竪穴住居4基とそこからの出土遺物(土偶・土器・石器)は、質量ともに特筆すべきものがある。平成12年に県史跡に指定された。

問い合わせ先:三重県教育委員会事務局 社会教育・文化財保護課
〒514-8570 三重県津市広明町13
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