三重県総合博物館 > 三重県総合博物館(MieMu)のミュージアムフィールドで未記録種のハチが発見されました

平成29年12月12日

三重県総合博物館(MieMu)のミュージアムフィールドで未記録種のハチが発見されました

 三重県総合博物館(MieMu)では、年間を通じて定期的に当館敷地内のミュージアムフィールドで、ミュージアムパートナーの皆さんと一緒に、「みんなでつくろう!ミュージアムフィールドの実物昆虫図鑑」という事業を行っています。このたび、今年の9月9日(土)に実施した調査で採集したハチが日本未記録種で、世界で2匹目の発見ということがわかりましたので、世界で2個体しか標本がないこのハチについて県民の皆さんに知っていただくことを目的に、実物標本とパネルにより紹介します。

1 発見された状況について
 平成29年9月9日(土)の午前中、当館敷地内のミュージアムフィールドで昆虫調査を行っていたところ、ゲスト参加していた九州大学大学院生物資源環境科学府修士1年の辻 尚道(つじ なおみち)さん(三重郡菰野町出身)が、名前不明のハチ(体長約5mm)を一匹採集しました。後日、辻さんの在籍されている大学でハチの分類を専門とする九州大学大学院農学研究院助教の三田 敏治(みた としはる)さんにこのハチを調べてもらうことになりました。

2 発見されたハチについて
 採集されたハチについて、三田さんが同定したところ、1997年に中国の雲南省から発見され、新種として発表された「Neodryinus isoneurus Xu & He, 1997(和名なし)」という種で、国内では未記録、世界で2匹目の発見ということがわかりました。このハチは、国内ではきわめて珍しいNeodryinus属(和名 ホソクビカマバチ属)と呼ばれるハチの一種で、ハチ目カマバチ科に分類されます。今回発見されたハチと、三重にも分布しているニホンカマバチとは類似していますが、前脚のカマ状の形態や体色パターンなどの特徴から区別できます。
なお、このハチの仲間は農業害虫のウンカ・ヨコバイ類に寄生するハチで、人に危害を加える心配はありません。

※未記録種と新種の違い
 一般的に未記録種とは、名前は付いているものの、該当地域で生息が確認されていない種のことです。なお、新種は、種そのものが発見されておらず名前も付いていない種のことです。

3 今後の対応など
 今回の発見は、平成29年12月9日(土)に北九州市立自然史・歴史博物館で開催された日本昆虫分類学会で「三重県より得られたNeodryinus属の日本未記録種について(ハチ目:カマバチ科)(発表者:三田 敏治・辻 尚道・大島 康宏)」で紹介されました。今後、学術専門誌で正式に発表される予定です。三重県での本種の発見は、この種を含む仲間が生息する照葉樹林帯が比較的多く残されているためと考えられ、今後、各地での発見の可能性もあり、本種の分布や生態の解明が期待されます。

4 ハチの展示
(1)展示期間:平成29年12月22日(金)から平成30年1月31日(水)までの開館時間中
(2)展示場所:三重県総合博物館2階 エントランスホール(津市一身田上津部田3060)
        どなたでも無料でご覧いただけます。
(3)展示内容
   ・ 発見されたハチの実物標本1個体と拡大写真
   ・「みんなでつくろう!ミュージアムフィールドの実物昆虫図鑑」に関する解説パネル

5 備考
・「みんなでつくろう!ミュージアムフィールドの実物昆虫図鑑」について
 当館敷地内のミュージアムフィールドを活用し、年度始めに募集によって決定した約20名程度のミュージアムパートナーとともに、一年を通して昆虫を採集して標本作成を行い、昆虫の継続的なモニタリング調査を続けています。本事業の参加者の中には小中学生も多く、当館学芸員指導のもと、日本昆虫学会全国大会の小中高校生ポスター発表会での報告や、三重生物研究発表会の受賞など、優れた調査研究例がいくつかあります。

・三田さんからのコメント
ヨーロッパから日本にかけての温帯域に自然分布するホソクビカマバチ属の仲間は、これまでニホンカマバチ1種しか知られていませんでしたので、日本の本州で別種が見つかったことに驚きました。本種の生活史はまったくわかっていませんが、カマバチはハサミのような特殊な前脚を武器に使います。早く生態を突き止めて、彼らが獲物を捕らえる様子を観察したいものです。

・ミュージアムフィールドの利用について
 ミュージアムフィールドにおける昆虫類の採集については特に禁止しておりませんが、様々な方が利用されることをご理解の上、節度ある行動を心がけ、表示に注意して、立ち入り禁止とされた区域には立ち入らないよう、ご利用ください。


今回発見されたハチ

今回発見されたハチ

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