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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > ハマゴウ Vitex rotundifolia

ハマゴウ(Vitex rotundifolia

花のついた枝
① 花のついた枝(MPMP35662)
資料名  ハマゴウ
学名  Vitex rotundifolia
分類  クマツヅラ科
 ハマゴウ属
資料番号  ① MPMP35662
 ② MPMP35677
 ③ 原色植物標本37
産地  ① 熊野市波田須町西波田須
 ② 南牟婁郡御浜町下市木
 ③ 松名瀬海岸(松阪市)
採集年  ① 平成元(1989)年7月24日
 ② 平成2(1990)年8月28日
 ③ 平成9(1997)年6月7日
果実は、直径6ミリ程度
② 直径6mm程度の果実(MPMP35677)
解説
ハマゴウは、海岸の砂浜などに生育する落葉小低木(らくようしょうていぼく)です。茎は、砂中を横にはうように伸びて、砂に埋もれていることが多いことから、木本(もくほん)の印象が薄い樹木です。葉は、単葉で対生し、長さ5cm程度の楕円形をしています。ビロードのような微細毛が密生しているので、表面は灰緑(かいりょく)色、裏は灰白(かいはく)色をしています。
夏になると横にはう茎から出た枝を上のほうに伸ばして、先端に紫色の花を多数つけます。花冠(かかん)は漏斗(ろうと)状をしていて、花弁(花びら)の縁は上下に分かれています。上唇(じょうしん)は2裂、下唇(かしん)は3裂します。「花冠」とは、花弁の集まりをいいます。私たちが「花」と呼ぶイメージのほとんどは、この花冠が担っているといえます。花の構造としては、花弁がひとつの花冠をつくっているものを「合弁(ごうべん)花冠」、花弁が離れて独立しているものを「離弁(りべん)花冠」といいます。そして、それぞれを「合弁花類(アサガオなど)」、「離弁花類(サクラなど)」としてまとめることで、植物を分類する際の大きな区別点となっています。したがって、漏斗状の花冠をもつハマゴウは、合弁花類に分類されることになります。
ハマゴウは、本州・四国・九州・沖縄から中国・朝鮮・東南アジア・ポリネシア・オーストラリアに分布しています。海浜(かいひん)性植物の種子は、海流に乗って運ばれるものが多いことから、広い分布範囲を示します。まさに、島崎藤村(しまざきとうそん)の「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る椰子(やし)の実ひとつ」の状況です(この詩が詠まれたのは、愛知県の伊良湖岬(いらごみさき)です)。三重県内では、海岸線全域で見られますが、北勢地域では安定した砂浜などが減少していることから自生地は確実に減っているのが現状です。
ちなみに、学名の属名「Vitex」は、ハマゴウ類の枝で「かご」を編んだことから「vieo(結ぶの意)」に由来し、種名の「rotundifolia」は「円形の葉」を意味しています。また、和名の「ハマゴウ」は、枝葉が持つ芳香から「浜香」の名がついたといわれています。(ほかにも諸説があります)(M)
葉の表と裏では、色が違う
③ 楕円形の葉(原色植物標本37)
※葉の表面と裏面の色が違います。
ハマゴウ(カラー写真)
ハマゴウ(志摩市志摩町御座にて)
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