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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > フェモラータオオモモブトハムシ

フェモラータオオモモブトハムシ(Sagra femorata (Drury)

資料名  フェモラータオオモモブトハムシ

左オス・右メス

 

2010年6月21日 明和町岩内オス個体

 

2010年6月28日 松阪市西野町本郷メス個体

学 名  Sagra femorata (Drury)
分 類 コウチュウ目ハムシ科
採集日

オス:2010年6月21日
  メス:2010年6月28日

採集場所

オス:多気郡明和町岩内
  メス:松阪市西野町

体 長 コウチュウ 25
雌 雄 オス:20mm
メス:17mm
解 説

 今回紹介するフェモラータオオモモブトハムシは、県内の昆虫研究者により、国内では初めての松阪市内に定着していることを確認された外来種の昆虫です。そのことは、2009年の日本鞘翅目学会大会で発表されています。
 フェモラータオオモモブトハムシは、体長15mmから20mmほどで、体が赤色を基調にした金属光沢をもち、見る角度によっては緑・青色の美しい色彩に変化します。後脚の腿節がとても太いのが特徴です。また、オスは、メスに比べて後脚が太くて長いことから区別できます。(写真1)成虫は6月ごろから発生し初め、8月ごろまで姿を見ることができます。
 今年(2010年)4月に本種の発生・定着を確認した昆虫研究者の指導のもと、松阪市岡本町の阪内川河川敷と同市早馬瀬町櫛田川河川敷で調査及び駆除を行いました。両河川敷きに生えているクズには、ゴールと呼ばれる蔓がコブ状にふくらんだ部分が見られました。(写真2)クズの蔓のゴールを切り取って開けると、本種の幼虫が形成して、内部に20mmほどの縦に長いカプセル状の蛹室を見ることができました。(写真3)クズの蔓の太いところにできたゴールの中では、数十個の個体がはいっていることもあります。本来は熱帯の昆虫ですが、クズの蔓の幹に包み込まれていることから、日本の冬の寒さにも耐えることができたのでしょう。また、クズがからまった草本や樹木の枝にも幼虫が入り込み、その幹の中で蛹室をつくっている例も観察できました。(写真4)
 その後、フェモラータモモブトハムシは、松阪市街地の阪内川河川敷各所をはじめ、櫛田川下流域の河川敷さらに祓川の河畔林などその周辺のクズが繁茂している場所で確認された。広範囲に分布していることが分かってきました。
 今のところ、本種の幼虫が害をおよぼす植物は、クズが知られているだけですが、東南アジアでは、マメ科を中心にヒルガオ科、ヤマイモ科、柑橘類、コーヒーなどの被害も記録されています。そのことから、クズ以外の植物を食するおそれもあり、今後も注意をしていかなければならない昆虫です。(TI)

 ゴールのようす

 ゴールの中のようす

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