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旧三重県立博物館本館の古写真

資料名 旧三重県立博物館本館の古写真
(みえけんりつはくぶつかんほんかんのこしゃしん)
時 代 (昭和28年建設)
資料番号   寸 法  
解 説   この白黒写真は、昭和36年3月発行の旧三重県立博物館の博物館ニュースに掲載された旧三重県立博物館本館の写真です。撮影時期は特定できませんが、旧県立博物館の開館から少し年月が経過した頃に、旧県立博物館東側の道路から建物の正面に向かって撮影されたものと思われます。現在の状況と比較していただくと、本館北側に接続して建つ旧図書館棟はなく、建物前面を覆うようにかなり大きく成長したメタセコイアもまだ小さく写っているに過ぎません。
 旧県立博物館は、第2次世界大戦後の復興期の昭和28年6月に開館しました。昭和26年9月にサンフランシスコ講和条約が締結され、翌27年4月に公布されたばかりで、世の中はまだ戦災からの復興をとげつつあった頃のことです。このような中で、県議会で相当な議論を経て博物館の建設が可決されました。
 総工費は2,770万円、設計監理は東畑建築事務所、施工は清水建設名古屋支店で、昭和27年11月に着工、翌28年6月には竣工し、東海地方で初めての本格的な総合博物館として開館したのです。
 この時に建設されたのは、本館とその南側に接続する木造棟及び渡り廊下です。本館は3,520uの敷地の中央やや東寄りの位置、かつて明治40年開催の第9回関西府県連合共進会の主要施設であった参考館(後の三重県勧業陳列館)が建っていた場所に、現在も残る当時の花崗岩製階段(当コーナーの100回で紹介)と中心軸を合わせて建設されました。
 鉄筋コンクリート造2階建てで、竣工当時の延床面積は660.5u。元々はこの写真に写っているように左右対称型の構造で、建物正面中央には屋上近くにまで延びる長い3本の柱で構成される高い玄関車寄せを突出させ、階段室のある両端のスパンを除く1階部分の壁面をやや後退させて、柱型を表しています。外壁は全体に薄いクリーム色の2丁掛けタイル貼りで、正面車寄せ(柱のステンレスカバーは近年設置)と1階窓下部分を淡黄褐色系の人造石の洗い出しとして、全体に柔らかな色調となっていますが、柱型の中心を通るように壁面の上端から下端まで小さな暗褐色のタイルを縦一列に配して色彩的なアクセントとしています。また、現在、遮光のためにアルミ板などで閉鎖されている窓については、本来、1階は両袖をガラスブロック積みとしたスチール枠のガラスの上げ下げ窓が、また、2階は上部をガラス嵌め込みとした縦長の窓枠にスチール枠のガラスの上げ下げ窓が配され、さらに建物両端の階段室部分にも同様の構造の細い縦長の上げ下げ窓が配置されていました。なお、「三重縣立博物館」の銘板は玄関上部に設置されており、また、竣工時には玄関車寄せの高い天井に行燈型のシャンデリアが取り付けられていました。このように、本館は装飾性を押さえた簡素なつくりの中に、車寄せの柱や縦長の窓など縦方向の意匠を特色とする建築となっています。
 その後、昭和41年には本館北端の階段室を撤去して、そこに接続するように鉄筋コンクリート造3階建ての県立図書館(旧図書館棟)が建設されました。また、昭和28年にはメタセコイアの命名者である植物学者の三木茂博士から譲り受けた同木の苗木2本が、翌年には農林省林業試験場から譲り受けた苗木3本も本館前面に植えられ、現在、建物を覆い隠すほどに大きく繁茂しています。
 旧県立博物館本館は、築後60年以上経過し老朽化が進んでいますが、戦後間もなく造られたコンクリート建築として建築史的意義をもつ歴史的建造物です。また、戦後の物質的な困窮が続き、東海地方にまだ本格的な総合博物館がなかった時期に、県民の教養・調査・研究・レクリエーションに資するため他県に先駆けて建設・開館した博物館として、当時の三重県の文化的先進性を象徴する貴重な建物と言えましょう。さらに、偕楽公園の緑陰を背景とし、東方から延びる道路(第9回関西府県連合共進会のメイン通路)の正面に位置する博物館のある景観は、従前より多くの人々に親しまれてきた、落ち着いた美しい景観であり、本館はその良好な景観を構成する主要な建造物となっています。


1.旧三重県立博物館本館の古写真(S36.3.10博物館ニュース)

2.昭和30年代の古写真(外観写真1)

3.昭和30年代の古写真(外観写真1)

4.昭和41年県立図書館建設の頃(写真2)

5.平成19年1月の状況

6.平成22年8月の状況

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