エラスモサウルスは、海生は虫類である長頚竜(首長竜とも呼ばれています)の一種です。三重県では鳥羽市で竜脚類の恐竜トバリュウの化石が見つかっていますが、トバリュウなどの恐竜が陸上を支配していた中生代に海の中で繁栄していたのがこの仲間です。恐竜とは同じは虫類ですが、今から2億年以上も前に共通の祖先から分かれて別々に進化してきました。そして恐竜というライバルのいない海の中で、1億年以上にわたって栄えましたが、今から6550万年前の白亜紀末に恐竜とともに絶滅してしまいます。
首長竜には、2つのタイプがあり、1つは首の短いタイプでプリオサウルス類、もう1つは、首の長いタイプでプレシオサウルス類とよばれます。エラスモサウルスは、首の長いプレシオサウルス類の中でも特に長く、全長の半分もある長い首をもっています。首長竜の仲間は、日本でも多数発見されていて、北海道から40個体、本州から7個体が報告されています。昭和43年(1968年)、福島県いわき市で高校生の鈴木直さんが発見したフタバスズキリュウ(学名 Futabasaurus suzukii)もエラスモサウルスの仲間です。
エラスモサウルスの口には、魚を捕らえて食べるのに適した、上下に噛み合うするどい歯が並んでいます。この歯を使って、魚のほかに硬いアンモナイトなども食べていたようです。ボートを漕ぐ時に使うオールのような形に進化した四肢を使って海中を泳ぎながら、70個以上もの骨(頚椎)がある長い首をしなやかに動かして、獲物を上手に捕らえていたと考えられます。
エラスモサウルス類の化石からは植物食恐竜の体内から見つかるような胃石が見つかることがあります。中には100個以上もの胃石を持っていたものもいます。恐竜と同じように食物の消化を助けるために使われていたのか、あるいは海の中で浮力やバランスを調整するためのおもりとして使われていたのかは長年議論されている問題です。(HR)
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