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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > キリシマミドリシジミ

キリシマミドリシジミ(Chrysozephyrus ataxus(Westwood

資料名

キリシマミドリシジミ

解 説

 キリシマミドリシジミは、国外ではヒマラヤ山脈の南面から中国西部にかけて帯状に分布し、日本が分布の東北限となっています。国内では本州(東限は神奈川県西丹沢)、四国、九州、対馬、屋久島に生息しています。県内では、鈴鹿山脈とその周辺、大台ヶ原周辺の山地に分布しています。キリシマミドリシジミは、この「けんぱくのおすすめ」の第33回で紹介したミドリシジミと同じなかまです。ミドリシジミのなかまは、国内では25種類が知られています。これらをまとめて「ゼフィルス(zephyrus)」と呼ぶことがありますが、ギリシャ神話の「西風の精ゼフィロス(zephyros)」が語源で「そよ風の精」を意味します。
 キリシマミドリシジミのオスは、表側が金属光沢のある黄緑色(写真1)で、裏側は銀白色の地色に褐色のよわい斑紋(写真2)がある翅をもち、日中にアカガシの樹間をこの鮮やかな色彩の翅を輝かせながら軽快に飛びまわる姿がみられます。それは、まさに「そよ風の精」にふさわしい姿です。メスの翅は、表側が褐色の中に青色の斑紋があり【B型】※(写真3)、裏側は褐色の地色に太い白帯(写真4)があります。メスは、幼虫期の食草の近くを離れず、オスほど活発には活動しません。幼虫の食草は、地域によって少しずつ異なりますが、三重県では主にアカガシの葉を食べます。アカガシは、県内で標高300mから800mの山地で生育する常緑広葉樹です。成虫は年に1回発生し、7月上旬から8月下旬にみられます。
 菰野町地内のキリシマミドリシジミは、国内でも生息密度が高く、学術上貴重な地域として三重県指定天然記念物に指定されています。【1953(昭和28)年5月7日指定】
 夏休みの期間に、御在所岳の周辺の山に登れば、このチョウが飛び交う姿をみることが出来るかもしれません。ぜひ観察をしてみてはいかがでしょうか。

 ミドリシジミ類のメスは、翅の表面の斑紋によって、大きく4つの型に分類されています。橙色の小斑紋が出る型(A型)、青藍色の斑紋が出る型(B型)、橙色と青藍色斑紋の両方の斑紋が出る型(AB型)、どちらの斑紋も出ない型(O型)の4つの型で、ヒトの血液型と同じ遺伝をすると言われています。キリシマミドリシジミのメスの場合、県内では、B型が中心で、まれにAB型やO型の個体がみられます。(!)

学 名 Chrysozephyrus ataxus (Westwood,1851)
分 類

昆虫網 チョウ目 シジミチョウ科

資料番号

箱番 チョウ68

資料1
(オス)

三重県度会郡大紀町
(旧 大内山村大内山川池ノ谷越)(飼育個体)

1987年2月8日(卵採集)
1987年5月18日(羽化)

性別 オス
大きさ:開帳35mm

資料2
(メス)

三重県度会郡大紀町
(旧 大内山村大内山川池ノ谷越)(飼育個体)
1987年2月8日(卵採集)
1987年5月16日(羽化)
性別:メス

大きさ:開帳35mm

写真1
(オス・表)
写真2
(オス・裏)
写真3
(メス・表)
※B型
写真4
(メス・裏)
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