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三重の文化

第64回みえ県展 審査評

日本画部門審査評    

 今回の日本画部門の出品数は69点、昨年の42点より27点も増えるという主催者にとっては嬉しい状況であった。しかしながら、それだけ入選へのハードルが高くなったとも言え、また内容的にもバラエティに富んでおり、審査は困難を極めた。第1次審査で29点を選び、これを入選作とした。その後、さらに半数近くの16点まで絞り、この中から最終的に9点の受賞作品を決めていった。

 最優秀賞の吉川博子「係留」は港に停泊する船を描いた、画題としてはよくある光景の作品であるが、重なり合う背景の乱調なリズムから浮き出るような白い船体の美しさが印象的な作品である。これを機会に今後はもう少し大きい作品にも挑戦してみて欲しい。優秀賞(三重県議会議長賞)の西部隆哉「遠い日」の女性の横顔や衣服には、現代そのものを描いていながら、ルネサンス期あたりの優美な品格を持った肖像画を思い起こさせた。もう1点の優秀賞(三重県教育委員会委員長賞)の伊藤奈央「変わらずそこに」は、実に不思議な作品である。一見、画題としても、技術的にも物足りなさを感じるのだが、その中に何か言うに言われぬ雰囲気の存在がある。また、透明感のある色彩を持った三重県市長会長賞の矢田敬子「昴耀」にも同じことが言える。
 岡田文化財団賞には佐脇八千代「爆」を選んだ。今回の出品点数増加の主な原因に、多くの水墨画作品の応募がある。その中でも頭一つ抜け出た、水墨という難しい主材を巧く使いこなして、また新たな表現を見せてくれるであろうことからの受賞となった。中日新聞社賞の伊藤鶴代「家族」は画題の犬に対する愛情が伝わって来る。すばらしきみえ賞の真野きく子「寂」の手堅い表現と合せ、絵を描く原点の楽しさを評価したい。
 さらに自然の恵み賞の日當優子「悠游」の並はずれた表現力と、for your Dream賞の松岡和德「玉三郎」の個性的で、かつ魅力的な表現も忘れることは出来ない。

 次回以降にも大いに期待したい。

                                                      日本画部門審査主任 吉田 俊英

                                                     


洋画部門審査評  

 入選作品は、多様な表現の中から79点に絞り込むのは難航した。洋画部門は出品点数が多くしかし展示面積に限りがあるので選考が難しい。
 入選作品の中から17点を賞候補に選んだが、さらに絞り込んで9点を選び、さらにそこから4点を最優秀候補とし最優秀賞を選び、その後岡田文化財団賞、優秀賞と選んでいった。その後は残った5点の中からそれぞれの賞を決定した。作品の質を重視した選考となった。

 最優秀賞の中村繁己の「窓辺のアトリエ」は鉛筆による緻密で堅実な表現によって、頭蓋骨、鳩の剥製、植物などのオブジェが非日常的で不思議な世界を作り出している。岡田文化財団賞の伊藤真里奈の「くもがくれ」は、湧き上がる変化に富んだ雲がモノクロームに近い画面に密度を与え、充満したエネルギーを感じさせる。作者はまだ17才ということで将来が嘱望される。優秀賞(三重県議会議長賞)の二井澄子の「叫び」は、箪笥と玩具を堅実な表現で描いており、その取り合わせや不安定な構図が面白い。優秀賞(三重県教育委員会委員長賞)の久保勉の「無限界」は、顕微鏡で覗いた皮膚か血管のような世界が緑のモノクロームによって画面いっぱいに広がり、抽象的ながら生命的な変化に富んだ世界を作り出している。三重県市長会長賞の武田安代の「未明の子」は、暗がりの中に女性の人影が浮かびあがった不思議な世界を作り出している。暗いながら家の壁の青や椅子の赤が印象的である。中日新聞社賞の原君子の「生まれる」は、黒と灰色のグラデーションを背景に裸の人物の肌色、葡萄の葉の緑、葡萄の紫、蔓の赤の色彩が鮮やかで美しい。すばらしきみえ賞の藤田昌久の「津の街-身田町2013」は、白と黒だけの版画を思わせる画面だが、うねる様なタッチが画面いっぱいを覆いつくす力強い作品である。自然の恵み賞の田中修の「まだ来ぬ幸せ」は、白と黒のモノクロームによる重量感のある画面で、抽象画ながら自然へとつながるものを感じさせる。
 for your Dream 賞の山鹿翔子の「学」は画面いっぱいに人物の顔を描いた力強い表現が23才の作者の将来性を感じさせる。

 

                                                       洋画部門審査主任 山脇 一夫 

 


彫刻部門審査評 

 昨年に続き彫刻部門の審査をさせていただきました。

 彫刻という芸術表現は、人間の原初的な行動にもかかわらず、一般的には技法、素材の調達など敷居が高く、制作している人が少ないのが現状です。みえ県展でも、出品数は正直、多くはありません。しかし、昨年、今年と審査をして、新しい才能に出会えた喜びを感じました。
 今年は22点と、昨年より少し増えた中で、いくつかの惜しい作品もありましたが、まずは上限の12点の入選を選びました。その後、何回か投票を経て、賞が決定しました。

 最優秀賞には、杉井星斗「春の風」が選ばれました。小松石で彫られた首像です。実にオーソドックスな彫刻ですが、凛とした佇まいを持った素晴らしいものです。今回の出品作の中で抜きんでていました。新人奨励の意味を持つ岡田文化財団賞には、鈴木葉菜「晩秋」に決まりました。枯葉の上に立つ鹿をFRPで作っています。この作家の年齢を後で18歳と聞いて大変驚きました。すごい新人と思います。歳を聞くまでは鹿と下の葉っぱの表現に多少の違和感を持ちましたが、この歳でこれだけの作品ができることは素晴らしいと思います。三重県市長会長賞には、田中義樹「デートしちゃった‘83」です。昨年も受賞した若い作家です。昨年よりずっと構築性が増し成長の跡が見られます。今後にますます期待したいと思います。優秀賞(三重県議会議長賞)の宮永正文、中日新聞社賞の鈴木次男、すばらしきみえ賞の鈴木良治、自然の恵み賞の山川芳洋、for your Dream賞の上原正廣。皆さん、みえ県展の常連です。ますます良い作品をと願います。また惜しくも賞を逃した中で、栗山絵美子「いきな」、谷本雅一「MUGEN」の2人の作品を挙げておきます。

 彫刻は、最初に書いたように敷居の高い芸術表現かもしれません。しかし始めて見ると奥が深くとても楽しいものです。一つの作品にじっくり時間をかけて、納得のゆくまで制作をしてもらいたいと思います。

 三重県は、私の尊敬する彫刻家橋本平八の出身地です。多くの後に続く人が出てくることを期待しています。 

 

                                                         彫刻部門審査主任 深井隆            

                                                    


工芸部門審査評 

 工芸部門では陶芸の応募が最も多く、水準も高かったが、木工、ステンドグラス、染色などにも注目すべき作品があり、全体としてバラエティに富んだ内容となった。応募点数は79点、その中から入選作45点を選ぶ作業にかなりの時間を要した。当落線上の作品が拮抗して甲乙つけ難く、その差はごく僅かであった。審査にあたって重視したのは、まずは創意であり、豊かな発想と構想にすぐれた作品を称揚するように心がけた。しかし工芸という分野は、加えて技術的な修練が必要になるわけで、作品として鑑賞に堪えるかどうかも重要なポイントとなる。その点では、多くの作品が日頃の修練を思わせるものであり、三重県における工芸活動の厚みや、広がりを感じる審査となった。

 入選作品の決定に苦しんだ一方で、賞の選考はスムーズに行われた。というのも賞に入った9作品の水準が極めて高いものであったからだ。最優秀賞の下川建世「砦」は前衛的な陶芸作品だが、一見、単純なようで実は綿密に考えられた形体は、量塊としての存在感も申し分ない。意匠的には、建物と開口部とのバランス、控えめに施された化粧掛けも好ましい。審査員が一致して推奨した作品である。審査後、作者は日頃は実用陶器を手掛けるベテランと聞いたが、新しい分野に果敢に挑戦し、成果をあげたことを評価したい。優秀賞(三重県議会議長賞)の林田さなえ「白い花の詩(まだ見ぬ花の詩)」は、制約のあるステンドグラスの表現において、構図、配色ともに優れたさわやかな作品である。同じく優秀賞(三重県教育委員会委員長賞)の野嶋峰男「欅拭漆盛器」は、研ぎ澄まされた形と木地の模様の組み合わせの巧みさ、漆としての表現の確かさに円熟の境地を思わせる。岡田文化財団賞の馬場弘美「練上げ大皿」は柔らかなかたちと複雑な模様のバランスが秀逸で、高い評価を得た作品である。 

    
                                                        工芸部門審査主任 福永 治

   


写真部門審査評   

 64回という長期にわたっておこなわれてきた三重県展。写真部門の審査も何度かさせていただいたが、いつも力作が多数寄せられ、楽しみにしている。ただ、長年続いていると、多少マンネリ化の兆しが出てきているのではないかと思う。このところ、発想、題材の選び方、プリントの仕上げ方など、どこか型にはまった作品が増えてきていると思っていた。今回は、そういう「作り過ぎ」の作品が多い中から、新鮮な切り口で写真を楽しんでいる応募者の方たちを選ぶことができた。結果的に、上位入賞作品のラインアップは、バラエティに富み、新たな胎動を感じさせるものになったのではないかと思う。

 最優秀賞に選ばれた田村仁志「ウインド ベル」は、これまでの受賞作にはあまりなかった若い女性をモデルにしたポートレート作品である。ういういしいエロティシズムを発散するモデルを、柔らかな、やや暗めの光の中にほんのりと浮かびあがらせる技術はなかなかのものだ。映画用のレンズを改造して使うなどの工夫も見られる。
 岡田文化財団賞の北條浩「眠らない街歌舞伎町」は、おそらく早朝の雨上がりの歓楽街の雰囲気をしっかりと把えきったスナップショット。「物語」を感じさせる画面構成が見事だ。
 優秀賞(三重県議会議長賞)を受賞した牛場寿子「扶養家族」、優秀賞(三重県教育委員会委員長賞)の前部淳「母のブロマイド」も、それぞれきちんと自分の写真を追求している。現代社会への批評精神を含みこんだ「扶養家族」、母親の若い頃の写真と現在の風貌を対比させた「母のブロマイド」の両方とも、とても印象に残る作品だった。

 ぜひ、次回も素晴らしい作品を期待したい。今回の結果を見ると、三重県展写真部門の未来は明るいのではないだろうか。

 

                                                     写真部門審査主任 飯沢 耕太郎

 


書部門審査評 

 総出品数は167点(漢字116、仮名19、調和体25、篆刻7)で昨年に比べて5点増であった。

 作品は各部門共にレベルの高いものが揃っていて審査に長時間を要したが、壁面に対しての入選数が決められている為、ほんの紙一重の差で入選できなかったものもかなりあった。最終的には3人の審査員で厳選且つ合意のもとに入落を決定した。審査の段階でやはり古典作品を基盤とした練度の高いものが要求される。書作において創意と練度は共に制作上の重要な要素であり、よく「作品の優劣は練習量に比例する」といわれるが、作品全体を見て感じたことは、類型的な作品から個性的表現への脱皮をうかがえる反面、師風、会派等の類型的な書風から脱皮しきれないものもかなりあった。書の美的要素としては、墨色の研究、字体の造形、線質の研究、リズム感、余白の活かし方等などが挙げられるがこうしたものは短時間でできるものでなく、鍛錬に鍛錬を重ねた中から産みだされるものであり、そうしたことから個性豊かで格調高い書作品が生まれると信じる。

 書に限らず芸術の道を志すことは終局のない習練への挑戦であるが、常に「守破離」の精神を意識し、自分の顔を表す個性豊かな作品を目指して制作にとりかかってほしいものである。作品の出品時期を見据えて少しでも早くから計画を立てて、練習量を多くし魅力ある作品の制作に取り組まれることに期待する。

 最優秀賞 水谷芳彩の作品は線質の冴えが素晴らしく、大字と小字のバランスが申し分ない。練習量が豊富で鑑賞者を圧倒する迫力があり、格調高い作品である。優秀賞(三重県議会議長賞) 伊藤雲峰の作品は墨の潤渇の変化を生かし、立体感溢れる篆書で古典の臨書がよく出来ていて見応えのある佳作である。優秀賞(三重県教育委員会委員長賞) 西村皋風の作品は、藤原佐理の書風を基調とした流麗な線質は見事である。又余白の美しさが抜群で作品を大きく見せる技術はさすがである。


                                                           書部門審査主任 角井 博

 

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